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ミカエル・リャブコインタビュー「百聞は一見にしかず」

「百聞は一見にしかず」
by ミカエル・リャブコ

リャブコ、ミハイル・ヴァシーリエヴィッチ
1961年5月6日、ベラルーシ生まれ。10年以上特殊単位部隊に所属し、戦闘活動や人質解放に参加、また特殊戦闘部隊の作戦技術訓練センターでインストラクターを務めた。2002年から2006年まで、ロシア連邦法務省顧問。国内軍務大佐。2006年8月1日から現在までロシア連邦最高検事局に在籍。法務大佐、退役軍人。ロシア連邦大統領国家勲章、および内務省国家勲章受章。ロシア連邦法務大臣より、個人名を記された武器を授与されている。20年以上に渡り、全世界に門下生を持つ「古代ルーシの格闘技システマ」を主宰している。

ミハイル・ヴァシーリエヴィッチ・リャブコを初めて目にしたら、こんなに太った中年男性が、ロシアや世界のさまざまな格闘技の流派で権威として君臨している、まさにあの偉大なリャブコ氏であるとは到底信じることはできないであろう。たとえば日本では、もうすでに何冊ものコミック本が出版されているほど、彼は人気者なのである。そのコミックでは、「ミハイルさん」は笑みを浮かべながら敵対するものたちを蹴散らし、マフィアを懲らしめている。
しかし10分ほど彼と話をしてみると、ミハイル氏の戦闘能力に対する疑念は消え去ってしまう。しかもそれは、超自然的な現象を見せつけられたからではない。まして私たちは道場にいるわけではないし、何かのデモンストレーションをしてもらったからでもない。リャブコ氏は多弁ではないにもかかわらず、彼のその力を、この人物の善良な力を、今後一瞬たりとも疑うことはできなくなるのだ。

インタビュアー:アナトーリー・ミハイロフ/ 撮影:アントン・ヴォロジン

 
 -ミハイルさん、強面でいらっしゃらないことで、何か困った目に遭ったことはありませんか?

 それはありませんね。ときには、この見た目に助けられることもあります。私の信念の一つに「衝突を回避できるなら、回避せよ」というものがあります。
 あるとき私は映画を見ていて、終わりを待たずに映画館を出たことがありました。ロビーに4人組の男たちが座っていました。彼らはこう言い放ってきたのです。「おっさん、可愛がってやろうか」と。当時の私はすでにいろいろなことを経験してきていましたが、この外見ではまったくそんなことは想像だにできなかったのでしょう。私はこう答えました。「君たち、それは困るよ。僕はフルート奏者なんだ。唇が割れたら、演奏できなくなってしまうよ。」「ああ、おっさんは音楽家か。なら行っていいよ……」またあるときは、もっと簡単に事が済みました。夜、男が私に近寄ってきて、こう言ってきたのです。「あんたの顔が気に入らねえな」と。私はこう答えました。「私もね、自分でこの顔が気に入らないんですよ。」そういうわけで、争いを未然に防ぐことができました。

 -つまり、いつも衝突を回避することができたということでしょうか?

 必ずしもいつもうまくいくというわけではありません。悪意に満ち溢れている人は、そう簡単には引き下がりません。そういうときは、力を行使することになります。

 -日本のコミック「ミハイルさんの冒険」を彷彿とさせるような事件もありましたか?

 それはないですよ。あれは、映画の中のような話、陳腐な大ヒット映画のシナリオとして好まれそうですが。残念ながら、我々の道場にも、格闘技を「映画の中のような」ものと誤解してやって来る人もいます。そういう人たちは、映画のエキストラをしていればいいのです。

 -そういう人が来た場合、どう対処なさっているんですか?

 人生は映画とは違うのだ、と説明します。

 -それで理解してくれますか?

 理解してくれていると思います。我々の門下生の中から、ギャングになった人はいませんし、「自分はこんなに強いんだ」という気持ちから、力を実践の場で発揮した人はいません。

 -変なことを伺ってすみませんが、たとえば一年間トレーニングを積んだ門下生の方々は、板やレンガを何枚くらい割れるようになるものなのでしょうか?


 そういうことは、私たちは行いません。考えてみてください。板を割る、レンガを割る――そうすれば、自分が誇らしく思えますね。では、板ができるまでには、木を育てなければなりません、それを切り倒し、かんなをかけ、のこぎりで切り分けなければなりません。誰かが、これらすべてを手作業で行っているんです。かんなをかけ、のこぎりで切るという作業を。そこに何も知らずにふらっとやって来て、「えいや!」と割る。おいおい、なんでそんな真似をするんだ? 説明してみろ。そこにどんな意味があるんだ? それが何の役に立つ? レンガであっても話は同じです。誰かが焼いて作ったレンガを、また何も知らずにふらっとやって来て、「えいや!」と割る。

 -リャブコさん、「システマ」の一番の特徴はどういった点にあるのでしょうか? 他の格闘技と、どういった面で異なるのでしょうか?

 不可侵の原則についてはもうお話しましたね。この原則は、多くの格闘技で取り入れられているものです。あらゆる直線的な作用は、人間に反作用を生み出します。たとえば、ふつう、肩を小突くと、肩は固くなります。これを私たちのところでは、攻撃の動きそのままに動くように、どんな方向に繰り出されるものであっても、相手の動きを妨げないように、その攻撃が向かいたい方向に動いていけるようにしなさい、と教えます。どんな動きも、あなたのコントロールできる範囲内にあるのだということです。私たちは、相手の打撃が生み出すエネルギーを、そっくりそのまま相手に返してあげるよう教えています。相手が繰り出してきた打撃を、すぐさま復元させるのです。放たれてきた打撃の力を借りて、相手の防御の隙を突くのです。ここで、呼吸を整えること、そして呼吸をしながら動くことが非常に重要になってきます。

 -リャブコさん、ちょっといいですか。呼吸を整える、ということを聞くと、何だかオカルト的な行為を想像してしまうのですが……


 正教の静寂主義者の修道士たちは、呼吸を非常に強く意識していました。これは、人間の生理作用と精神を統一するために行っていたものです。ギリシャのアトス島でも、「システマ」が非常によく普及しています。私も何度もそこを訪れました。ただ、私たちを「正教に傾いた少林寺の密教修道士」だとか思わないでください。私たちは、イイススの祈りを実践するように教えてはいないんです。ただし、静寂主義の考えは、もちろん取り入れています。もし単に比較してみるならば、精神的な戦いの場においては、我々はただの一般兵士です。修道士たちは、これはもう特殊部隊であると言ってもいいですね。
 話は変わりますが、正しい呼吸によって、人は打撃を受けたあと、すぐさま立ち直ることができます。大事な原則の一つに挙げられるのが、息を吐くときに打撃を受ける、という技能です。格闘技に限らず、正しい呼吸は人の健康状態をよくしてくれますしね。
 しかし、全体として、基本となる原理は、スヴォーロフの言葉を借りて説明することができます。知性を常に明白なものとしておけ、それは鏡のように現実を映すものだ。理性を常に柔軟で粘り強いものとしろ、警戒心を持ち、過剰に興奮することなかれ。戦闘の緊張状態の中では、精神は相手の攻撃が発せられたとき、その攻撃が繰り出される「瞬間」に反応しなければならない。
 原則を言いますと、「システマ」の技術の中に、さまざまなスタイルの格闘技の、ほとんどすべての基本的な手法とよく似たものを指摘していくことができます。しかし、我々が扱っているものは、それらよりも範囲が広いのです。それだから、ボクサーや空手家、フリースタイルの格闘家などが我々の門をたたくのです。

 -つまり「システマ」は決定的な総合性というものを狙っているわけですか?

 そうです、だから我々は、団体登録をする際に「古代ルーシの格闘技システマ」という名称を使いました。「システマ」という言葉は、総合性とほぼ同じ意味です。

 -これまで歩んでこられた道について教えてください。

 私には、「ハリウッド的な選択肢」というものはありませんでした。「偉大な師匠」や「先代」という人に出会ったことはありません。さまざまな人に教えを請うてきました。父を真似た部分もあったでしょうし、見てきたことが影響した部分もあったでしょう。また、自分で会得した部分もありましたし、なんと言いましょうか、お告げのようなものもあったかもしれません……

 -では、道場では師弟関係はどのように構築されていますか? 私は入口のところにミハイルさんの肖像画があるのに気がついたのですが。古代ロシアの軍人が着ていた甲冑を身にまとった姿でしたね。


 よくある階級制度ですよ。ただ、私は「グル」なんかではありませんし、どんな人でも受け入れています。それに、多くの東方の格闘技とは違って、私の肖像画に向かってお祈りを捧げている人は誰一人いないと断言できます。東方では、師匠の肖像画を前にして瞑想したりしますね。よく行われている方法です。私たちのところでは、至極簡単です。自分の中に偶像を作るな、と教えています。ただ、イコンの前でお祈りすることはありますけれど。

 -リャブコさん、「システマ」とはつまり何でしょうか?

 これは人間の精神的、身体的、心理的鍛錬と教育が調和した複合体と言えます。ロシアの歴史的な精神的伝統と戦闘の伝統がもとになっています。「システマ」は、人間の身体的は成長を通して、心理的文化や精神性の発達を手助けしています。

 -生理学と心理学が相互に関係し合っていることは理解できたのですが、ここに精神性が入って来るのはどういうことなのでしょうか?

 では、逆に質問してもよいですか?

 -もちろんです。

 あなたは身を清めるために断食をすることはありますか?

 -ええ。

 そういった斎戒は、精神状態に何か影響を及ぼしますか。

 -それは間違いないことです。

 つまり、そういうことですよね。あなたは精神的なものと身体的なものが強く結びついていることをよく理解していらっしゃいます。多くの格闘技には、数千年の歴史があります。そして、戦士の力は、その身体的な力だけでなく、精神的な力にも直接に作用されるのだと理解されてきました。それだから、精神力の影響は多くの場合で決定的なものとなるのです。

 -私は、「システマ」の精神的な根本はロシア正教だと理解しているのですが、東方の格闘技の根本には何があるのでしょうか?

 もちろん、ロシア正教が「システマ」の根本になっています。正教の戦士は、告白や浄化、聖体礼儀を通じて精霊を獲得してきました。東方の格闘技に関して言えば、四段や五段までは技術の領域ですが、それ以降となるともう精神との相互関係の領域に入ってきます。ここですべてお話することはしません。忍者を例にお話します。忍者は、闇でうごめく戦闘集団です。「忍者」という漢字が持つ意味の一つに、九字の法というものがあります。これが何を意味しているかというと、忍者が型通りの動きをすると、足は同じような漢字を描くのです。その漢字は、まあそういったものと相互関係にあるのですよ。

 -なるほど。それで、ロシアでは全土で空手武術が普及していますね。子どもたちもこぞってこの流派に入っていっています。私の息子が通う学校でも、空手のクラブがあるくらいで。

 私は、イギリスでこんな経験をしたことがあります。女の子が武術の稽古をしていて、龍を前にしてお辞儀をしていました。そんな彼女を見て、私たちのインストラクターがこう言ったのです。「マリヤ、龍にお辞儀をしてはだめだ、よくないことだよ。」彼女はこう言いました。「どうして?」インストラクターが答えます。「イギリスの守護天使は誰だい?」「ゲオルギオスです。」「彼はどう描かれている? 馬に乗って、槍で何を威嚇していたっけ、マリヤ?」「ヘビです。」「そうさ。きみは、そのヘビに向かってお辞儀をしているんだよ。」「まあ。私はカトリック教徒なんです。そうしたら、道場では一体どう振る舞ったらよいんでしょう。」これはロシアでも起きる問題です。「龍の道」が示されるのです。では、この龍はどこに向かっているというのでしょう。この道とは、どのような道なのでしょう。答えは、穴の中です。下へと我々を導くのです。もし親御さんたちに「あなた方は、お子さんたちを、背景にこれこれを持つ流派に入れようとしているのですよ」と話して聞かせたとしたら、多くの親御さんたちは自分の行為を見直すと思いますよ。

 -ところでリャブコさん、システマは海外でも多くの道場をお持ちですよね。そしてそこでたくさんの外国人がトレーニングに励んでいる。彼らは、自分の信じる宗教とロシア正教の「システマ」との間で、どのように折り合いをつけているのでしょうか?


 ロシア正教は、誰かを力ずくで排除しようとすることはありません。けれど、隠すことはないので言いますけれど、「システマ」の精神的基盤は、「あなたがどんな宗教を信仰していようと、それは関係ありません」と言うことはしません。東方の格闘技がそうであるのと同じように、初級段階というのは、誰でも取り組むことのできるものです。私たちの海外支部を訪れる人の多くは、初級段階の人たちです。
こんな特殊な経験をしたことがあります。私のもとを、それまで数多くの東方宗教に携わってきた人が訪れました。この人物は私たちのところでトレーニングを始めたのですが、あるとき、道場で彼は壁から壁までを、かなり周りが不愉快になるような声を出しながら移動していったんです。それが、彼がそれまで身につけてきた流派の「名残」であることは、すぐに理解できました。私はこういう穏やかな性格をしていますでしょう……でもそのときは、もう来るなと彼に言ったんです。もしすごくやる気があるなら、まずは教会に言って信仰を告白して来い、と。

 -これまでに門下生が洗礼を受けたり、あるいはロシア正教に回心したということはありましたか?

はい、それも一人や二人ではありません。私たちのところには、格闘技の世界で誰もが知っているような人物、あるいは格闘技に全人生を注いでいるような人物がよくやって来ます。そして彼らの多くが私たちの流派に入り、門下生としてこれを続けている様子を見るにつけ、おそらく我々の流派には、他にはない何かがあるのだと思えてきます。

 -リャブコさん、私はこんな意見を聞いたことがあるのですが。「システマには独自なものは何一つない、リャブコが東方の格闘技から全部引っ張ってきたんだ」という。

これに関しては、日本人に感謝しなければなりませんね。日本ほど私を温かく迎えてくれる国は、どこを探しても見つかりません。我々は、日本にも道場を持っています。そして合気道も、空手も、私たちのことを認めてくれています。日本では、アルメニアの特殊単位部隊が我々の手法でトレーニングを行っています。日本人は、私たちのことをいろいろなメディアで取り上げてくれています。先ほど引き合いに出されたコミック本も、そのうちの一つです。でも、見ていて笑ってしまうこともありますよ。泥棒をしたりしているんですから。ここに雑誌がありますが、これは呼吸法を取り入れた古代格闘技に関する、もっとも重要なニュースを取り上げたものです。ぱっとしない古い文章の断片のように見えるでしょうが、ここには、正しく呼吸するためにはどうしたらよいのかが書かれているのです。これは、私たちのパンフレットに書かれた正しく呼吸する方法とまったく一致しているのです。
きちんと理解してもらえるよう、私は日本で「システマ」との関係性を話すときは、いつも次のように言っています。もし我々が東方の格闘技から何かヒントを得たのだとすれば、それは、日本人が最初に私たちにそれを示してくれた、ということでしょう、と。

 -これはまさに、「預言者故郷に容れられず」といったところですね。あるロシアの作家がこのように言ったそうです。「もしこの世に天才的なロシア人作家が現れるとしたら、まずはドイツの文芸批評家に評価されなければならない。そうすれば以後、ロシア国内でも天才として扱われるだろう」と。

 たしかに、その通りですね。私はドイツにも特殊単位部隊を所有していて、ロシアの副大臣と数人の特殊部隊員が、彼らのもとを訪れたことがありました。視察をし、あらゆる点が気に入ったんですね。「きみたちは、どこで訓練を受けてきたんだね?」「モスクワに留学していました、リャブコさんに習ったんです。」これを聞いて、みんな拍子抜けしてしまったみたいですよ。

 -リャブコさんは、国連にも招待されたそうですね?


 はい、去年の国連62周年のときに。我々の「システマ」が、世界のもっとも人道的な格闘技の一つに認められたんです。招待されて、報告を行いました。みなさん気に入ってくれました。格闘技の四つの団体が招待されたんです。「システマ」と、合気道と、空手と太極拳です。それぞれに30分の持ち時間が与えられて、デモンストレーションと報告をしました。あとで、私たちをアンコールで呼んでくれたんですよ。
ただ残念だったのは、海外での方が、私たちの可能性がとても大きいということです。本来ならば、「システマ」は、空手や武術に熱狂しているようなロシアにこそ必要なものなのです……しかしながら全体的にみると、ロシアでの我々の活動は、まずまずの状態と言えます。私は、警察の単位部隊やロシア連邦保安庁、内務省でもトレーニングを行ってきています。もちろん、ロシア最高検事のユーリー・ミハイロヴィッチ・チャイカ氏には、特に感謝しています。彼はいつも我々の活動を支持してきてくれました。現在では、ロシア連邦法務省、最高検事局、そしてロシア正教会も我々を支持してくれています。

 -話は変わりますが、「システマ」に試合などはあるのでしょうか?

そういった類のものは、ありません。私たちの中でも、スポーツとして審判団を作り、体育・スポーツ組織を立ち上げようという動きもありましたが……ただ、ルーシには競争というものがなかったのです。子どもたちがあまりにもヒートアップしたら、きちんと叱るということはありましたが。

-打撃戦はどうでしょうか?

かつて、戦地から帰還した兵士は、打撃戦を行ってはいけない、というしきたりがあったのはご存知でしょうか。これは単なる野郎の遊びなんです。確かに、ケンカにもいくらかの技能が必要ですし、技を盗むこともありますが、これは戦闘術ではありません。民衆のスポーツとでも言いましょうか。そこに悪意や攻撃性はありません。集まって、自らの力を見せつけ合うのです。もしかすると、そこには自己有能感が働いているかもしれませんね。ただ、すべてに言えることは、どんな競争の形態も人間にうぬぼれの意識を生み出してしまうのです。皇帝がルーシを治めていた時代には、サッカーもボクシングもありませんでした(これらが出てきたのは、ロシア革命以降のことです)。しかし、そんな中でも、もちろん軍事部隊ではトレーニングが行われていました。剣術のトレーニングも、馬上のトレーニングもありました……

 -では、試合などの概念なくして、どのように若者の興味を惹きつけていこうとお考えですか?

 私たちには競争性の原理がないために、門下生の年齢やレベルはさまざまです。想像していただくと分かりやすいですが、もし隣に違った格闘技の超専門家が一緒にトレーニングをしていたとしたら、若者のトレーニングに対する姿勢はどうなるでしょうか。
トレーニングを始めるのに、年齢的な制限は一切ありません。トレーニングを始める時期が早ければ早いほど、目覚ましく上達していきます。基本的な動きや心理的能力、技能は容易に固定され、積み重ねられていきます。もう一度申し上げますと、「システマ」は身体的に強くなるためではなく、心理的な強さを獲得することに重点が置かれています。子どもたちは、こういった特徴の基本的原理のうちの一つ――姿勢をうまく正すこと、つまり身体と心理の総合的な状態、非攻撃的な状態、非感情的な状態――をすぐさま身につけていきます。このような技能は、それだけでも未成年の段階では価値のあるものだといえます。

-ソ連時代に「システマ」というものは存在したのでしょうか? 「アポストル」という偵察員を扱った連続ドラマが最近放映されていましたね。エヴゲーニー・ミロノフが主人公を演じていましたが、彼はどうしても格闘技を習得できない役柄でした。その後、内務人民委員部に所属していた人物が、「私にはコンダコフという上司がいた」と回想します。このコンダコフという人物は、デモンストレーションを行った際に、ロシアの格闘技に熱中し、敵を次々と蹴散らしていました。彼は、「システマ」の手法を用いたのではなかったでしょうか?

私が知っている限りでは、ロシアの歴史のさまざまな時期に「システマ」の総合性が違った姿で存在していました。部分的には、「システマ」はソ連時代にも存在していました。まず、これはサンボの形態であったわけですが。もちろん、コンダコフという役の背後には、実在した人物がいたのでしょう。

 -リャブコさん、では現在の「システマ」は完成形であるといえますか?

まだまだだと思います。まだまだですよ……毎日新しい発見があります。まるで情報のようです。人は何か熟達すると、もっとうまくできるようになります。祈りも同じです。人が祈るとき、すべてを見透かせているような感覚を覚えます。そして時が経つと、結局何も理解していないし、何もできないのだと分かるのです。常にその繰り返しです。福音書でも同じことです。それを何度も読んでみても、一言一句暗唱してみても、それでもやはり無限に新しいものが見えてくるのです。でもお分かりのように、行動を伴わない信仰は意味を為しませんし、同じくシステマについての話だけではまた、これも意味を為さないのです。そういうわけですので、百聞は一見にしかず、ですね。


*****
・24ページ緑色の囲み
 夜、男が私に近寄ってきて、こう言ってきたのです。「あんたの顔が気に入らねえな」と。私はこう答えました。「私もね、自分でこの顔が気に入らないんですよ。」そういうわけで、争いを未然に防ぐことができました。
・25ページ緑色の囲み
 精神的な戦いの場においては、我々はただの一般兵士です。修道士たちは、これはもう特殊部隊であると言ってもいいですね。
・26ページ緑色の囲み
 想像していただくと分かりやすいですが、もし隣に違った格闘技の超専門家が一緒にトレーニングをしていたとしたら、若者のトレーニングに対する姿勢はどうなるでしょうか。
・27ページ緑色の囲み
 我々の門下生の中から、ギャングになった人はいませんし、「自分はこんなに強いんだ」という気持ちから、力を実践の場で発揮した人はいません。
・26ページ写真下の説明
 「ミハイルさんの冒険」を描いた日本のコミック本。

※本記事は数年前にこちらの雑誌にpdf版も一緒に出てたのですが、現在ページを観られないので確認できません。申し訳ないです。

Tag:マスターの言葉  Trackback:0 comment:3 

Comment

masao URL|
#5.tUSU3M Edit  2012.04.11 Wed19:22
初めてまして。masaoと申します。

興味深い記事をありがとうございます。
本筋とは関係ないのですが、一つ気になったことがあったので、質問してもよろしいでしょうか?

「ミハイルさんの冒険」なるマンガがものすごく気になります。リャブコ氏本人が出てくる「日本のマンガ」に心当たりがないのですが、何を指しているのでしょうか?wikipediaにも記載されている「ディアスポリス」のことでしょうか?
TKHDKTGW URL|Re: タイトルなし
#- 2012.04.12 Thu02:30
> 「ミハイルさんの冒険」なるマンガがものすごく気になります。リャブコ氏本人が出てくる「日本のマンガ」に心当たりがないのですが、何を指しているのでしょうか?wikipediaにも記載されている「ディアスポリス」のこ
とでしょうか?

ディアスポリスで合ってます。
読んでみてくださいー。
masao URL|
#- 2012.04.12 Thu21:50
ご回答ありがとうございます!
今度の休みに買いに行ってきます!
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(編集・削除用):
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Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。株式会社アトス代表取締役。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでの講演するほか、テレビやラジオなど各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。ヤングマガジン連載「アンダーニンジャ(花沢健吾著)」、NHKドラマ「ディア・ペイシェント」監修。
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