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車:予期せぬ事態への準備は万全か? by コンスタンチン・コマロフ

新年ということでトレーニングtips日本語版2連発です。
翻訳を担当してくれた英語ネイティブのPさん。本当にありがとうございました!!

「車:予期せぬ事態への準備は万全か?」
by コンスタンチン・コマロフ

軍隊学校の初期から、戦術、銃器、自動車及び装甲車両について学びつつ、すべての訓練生はいくつかの特定のテストをパスしなければいけなかった。そのテストは、あらゆる種類の輸送車両及び戦闘車両を網羅していた。いくつかの要件はかなり簡単で、いくつかはより困難だった。いずれの場合においても、新しいタイプの車両に取りかかる際、すべては基礎から始まった:即ち、個々にまたはグループの一員として、車両に乗り降りすることである。

我々は、銃器を持ち、完全装備の状態で一年中それを行った。

その訓練はとても厳しく、コートは汗でびしょびしょになり、我々の膝、肘、指、頭や体の他の部分は、ハッチ、壁、ドア、車の出っ張りにぶつけたりこすったりしたため、痣だらけで血にまみれていた。このような訓練を始めて1時間後には、汗まみれで怒り、疲労しつつも、出っ張っている銃器や装備を気にする事無く、一挙動で狭いハッチや車両の出入り口を飛ぶ様に通ることができるようになっていた。

我々は、自分自身に問い続けていた:一体全体、なぜこんなことをしているのだろうか?

その問いの答えは、2年目にやってきた。戦術クラスの最中、車内に部隊がいる装甲車両が燃え出したのだ。そして、冬の服装と備品を装着した11名の兵士が燃える車両から6秒で脱出していた! 誰も怪我する事無く、装備も中に残す事無く、パニックも無く、そして火はすぐに消された。自分の所定位置に入ったり、出たりする能力のような”小さな事”の重要性を、その時初めて理解することとなった。

この軍隊学校で、汗と痣と傷とともに養われてきたこの習慣は、様々な状況において、何度か私を救ってくれた。この習慣は、崖から転げ落ちる車から飛び出させてくれた。車の装甲に守られるよう銃弾の飛び交う中飛び込ませてくれた。そして、装甲車両内で真っ暗闇の中、運転席より射撃席に一瞬で移動して銃器を操作することができた。

この古い習慣は兵役中だけでなく、日常の市民生活の中でも生きている。かつて私の軍の友人であるアンドレイが新しい車を購入していた時の状況を見た。彼は車を駐車し、しばらく周りを歩いた後、片側から車に入ると他の側から出始めた。約10回ほどこの作業をしたあと、彼は運転席に座り、助手席に移って戻ったりし始めた。

私は、どうしても彼に何をしているのか尋ねざるを得なかった。アンドレイの答えは、貴重な教訓とストーリーだった。

1994年に彼は軍隊を退役し、ヨーロッパからロシアへと中古車を運転していくビジネスを始めた。その時代はそのようなドライバー達を盗賊が道路上で待ち伏せしていたため、このビジネスは非常に危険だった。そこでアンドレイは軍隊時代の古い習慣に従い、それぞれの車に慣れるまで時間を掛けた。結局、この習慣が彼の命を救った。

それは晩秋に起こった。アンドレイは、ベラルーシで車をピックアップし、スモレンスク地域内のロシア領土を抜けて運転していた。彼は前方に、交通警察車両と、黒と白のストライプ柄の棒を使って停止するよう指図する警官の制服を着た男を見た(ロシアでは、このように警察官がドライバを停める)。アンドレイは車を停車させたが、エンジンが掛けたままにし、窓を開けて待った。その"警官"はゆっくりと車に近づき、自己紹介をした後、車の書類とトランクの中を見せるよう要求した。

"警官"の外観は、特に深刻な疑念を引き起こさなかった:ゴワゴワした制服、埃っぽいブーツ、”支配者”の態度 - どれもお小遣い稼ぎのために出かけている典型的な地域警官だった。しかし、何かが不自然だった。それゆえ、車に鍵をさしたまま、アンドレイは書類を渡し、車から降り、”警官”の後についてトランクに向かった。

その”警官”は、空のトランクをちらっと見たあと、アンドレイの免許証と車の登録証を凝視し始めた。書類を見通して、”警官”は書類が偽物であり、アンドレイが警察車両の後部座席に状況の詳細を把握するまで座らないといけないと言った。警察のキャプテンは、運転席に座って”昼寝”をしていた。アンドレイは後部座席のドアを開けはしたが、乾燥した天候にもかかわらず警察車両のナンバープレートが厚く泥で覆われ、交通警察の表示にはセロテープが一部張られ、アンドレイの後ろに立つ”警官”がなぜか右手をポケットに突っ込んだことに、ハッと気が付いた。

気付きを悟られることなく、アンドレイは、咳払いをして気が付かれない様に反対のドアを開けようとしながら、ゆっくりと後部座席に乗り込んだ。鍵が掛かっている。”警官”は、アンドレイの出口を塞ぐように隣に座っていた。突然、アンドレイは一挙動で前の席の間に足を通し、フロントの助手席に横向きに座った。あまりにも不思議な行動に、”警官”らは一瞬ポカンとしていた。アンドレイは右手でドアを開けながら、足で”キャプテン”を押して、背中から落ちる様に車からでた。そして、素早く立ち上がり、車に向かって猛ダッシュした。茂みの後ろから第三の”警官”が現れ、すでにアンドレイの車に向かって走り出していた。

二人はほぼ同時に車に到達した:アンドレイは運転席側で”警官”は助手席側に。その瞬間、アンドレイは貴重な数秒を稼ぐ行動を取った:空いている窓から飛び込み、前方に腕を延ばして助手席側の前後のドアをロックした。”警官”が車の前をまわってくる間、アンドレイはエンジンを掛け、運転席側のドアもロックした。”警官”が開いた窓からナイフで首を刺そうとしている間に、彼は走り出した。

最寄りのパトロールステーションで、アンドレイは事件を報告し、偽の”警官”は現行犯で摘発された。結果、このギャングはいくつかの殺人を犯していたことが判明した。

私の友人の命を救ったのは以下のことだ:セルフ・コントロール、迅速な思考、そして危機的状況での車中における熟練した動きだ。つまり、あなたの車の内部空間を知る努力は、有益な時間だと言える。人生は予想外のことで満ちており、それらに対応できる用意が必要だ。

この記事は2007年11月27日掲載されました。

元記事はこちら


DVD「Systema Car Fight」より

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北川貴英:システマ東京主宰。株式会社アトス代表取締役。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでの講演するほか、テレビやラジオなど各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。ヤングマガジン連載「アンダーニンジャ(花沢健吾著)」、NHKドラマ「ディア・ペイシェント」監修。
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