上下関係?

NO BELTS OR UNIFORMS
NO KATAS OR STANCES
NO FORMALITIES OR RITUALS
REAL, PRACTICAL, AND EXCITING Training!

以前にも紹介しましたが、トロントのシステマ本部に掲げられている、キャッチ・コピーです。

このコピーを世界中のシステマ愛好家はけっこう気に入っていて、ちょっとアレンジして自分のクラスのチラシに使っていたりします。例えば最後の「リアルで、実戦的で、エキサイティングなトレーニングがあります」のところに「笑顔に満ちた」というフレーズを挿入してみたり。ちなみにこれは僕がとてもお世話になっている、とあるアメリカのインストラクターの案でした。

ぱっと読んだだけだと、気づかないのですが、一番最初に「NO BELTS」が来ているのです。武術面の特徴を強調するなら、「NO KATAS OR STANCES」が最初に来ても良いと思うのです。でもこのキャッチの発案者(おそらくヴラディミア)はあえて「NO BELTS」を最初に持って来ました。そしてヴラディミアはこれを使っています。

「NO BELTS」を直訳すると「ベルトがない」。「ズボンがずり落ちちゃうじゃないか!」と思った方もいるかも知れませんが、ここでいうベルトは武道愛好家ならすぐにピンとくるように「帯」のことです。白帯、茶帯、黒帯といった、練習生を習熟度別にランク分けするアレですね。

あの帯は一般に「生徒の向上心を高める」という理由で多くの武道で採用されています。僕の記憶が正しければ、確か発案者は講道館柔道の創始者嘉納治五郎。彼の取り入れた昇段制度が柔道の普及に大きく寄与したため、いつしか空手や剣道といった他の武道も採用した、というものでした。今では審査費用を払って審査会に出て、昇段したら登録料や帯代を払ったりといった、そういうものになっています。これに関連して、つい先日、森田健作さんがかねてより誇りにしていた剣道の段位が、剣道協会から正式に授与されたものではない、ということがすっぱ抜かれたことがありました。森田健作さんが言うには、森田さんの師匠が独断でくれたもので、自分はその先生を信頼していたから、ずっと正式なものだと思っていた、とのことでした。

もともと段位の認定、というのはそういうものだったのではないかと思います。敬愛してやまない師匠と生徒との信頼関係において授与される、というのは、それはそれでとても美しい関係ではないかと思います。

でもシステマではそんな「帯」がありません。みんな等しく、敬意を評すべきだという思想が反映されているのではないかと僕は理解しています。

では「インストラクター」という立場はどうなるのでしょうか。この認可も「帯」の一種じゃないかと思えてならなかったのです。これがずっと僕の心に引っかかっていたのですが、つい先日、自分なりの解答をえました。

クラスには色んな人がいます。ムードメーカー的な人がいれば、寡黙にトレーニングをこなす人、いじられキャラ的な人、仕事が忙しくてたまにしかこられない人、才気にあふれた人、ゆっくりと自分のペースで上達する人、何がなんだかわからないけどとにかく参加する人、他の格闘技に応用しようとしている人、紅一点でオトコ達にもまれながらも続けている人、なんとなく友達を作れずに孤立気味な人、などなど。

インストラクターというのは、そのうちの一つでしかないのだと。「生徒と先生」という関係性を上下関係に結びつけてしまうこと自体、固定観念にとらわれた発想だったのですね。

ただ練習生達が怪我をしないでシステマを楽しめるようにと導く裏方的な存在。インストラクターという立場をそのように考えたら、僕はなんだか納得しました。


最近、僕のことを「先生」と読んで下さる方が増えています。これはこれでとてもありがたいことです。自分が知らないことを知っている人物に対して、「先生」という言葉で敬意を表したくなる、という気持ちはとっても理解できるからです。むしろ日本であれば当たり前のことだと思います。でももし、「目上の人に対する敬意」という意味で「先生」と読んでいる方がいらしたら、別の呼び方に変えていただければと思うのです。外国の方は僕を「タカ」と呼びますし、親しい人は「キタガワさん」とか「キタちゃん」とか呼んでますし。なんか新しいあだ名があっても面白いかも知れませんね。「タカ」をアレンジして「タッキー」とか(笑)


s_R0012703.jpgみんな同じシステマの仲間。「月刊秘伝」にレポートを載せる関係でこの写真を編集部に送ったら、「こんなゴツいオトコの中でよく生き残って来ましたね」と驚かれました。彼はどんだけの修羅場を想像したのでしょうか(笑

Tag:私的システマ随想  Trackback:0 comment:2 

Comment

ヒデ URL|すばらしい!
#- 2009.08.07 Fri18:53
ふかいい話ありがとうございます。もしこのコメントをミカエルが見たとしたらきっとにっこりと微笑むでしょう。
社会で生きていくうえで、上下関係、社会的ポジション、性別、年齢、などで括ってしまうことにわかっていても「つい」な自分にすこしでも気付いていこうと思います。
ところでシステマをトレーニングしていると相手の「帯」でつかむ、引っ張る、締める、と利用することをイメージしてしまいます。発想が自由になったのかぁ?
きたろう URL|Re: コメントありがとうです
#- 2009.08.07 Fri20:20
> ヒデさん、コメントありがとうございます。別にこういうコトをミカエルやヴラディミアから言葉で学んでいるわけではないのですよね。でも「ミカエルやヴラディミアならどう考えるだろう?」と常に考えて行く事で、色々なことが分って来る、というのがシステマの面白いところだと思います。もしこの記事がヒデさんにとってなんらかの参考になったとしたら、僕としても嬉しいです。
comment form
(編集・削除用):
システマ本部認定クラス
WarriorLogoFullmini.pngrusslogo.jpg
システマ東京案内&問い合わせ先
正規システマクラス「システマ東京」では各種クラスを実施中。いずれも初心者歓迎です。
詳細はクラス情報をご参照下さい。
お問い合わせはContactまで。
プロフィール

TKHDKTGW

Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。首都圏を中心に各地で年間400コマ以上を担当。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでのセミナーや各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。
システマ東京公式サイト
クラス日程
著書&DVD一覧
公式メルマガ登録フォーム

システマ東京カレンダー
システマ東京巡回ワークショップ
システマ東京による東日本巡回WSです。初心者から経験者まで大歓迎。ご都合つく方ぜひご参加ください。
【広島】11/25(土)システマ広島主催特別クラス
【福岡】11/26(日)システマ九州主催1日セミナー
【札幌】2018/1/4(日)システマ東京主催1日セミナー
ドキュメンタリーDVD「強き祈りの手」
「体力をつけ精神力を高めることで、攻撃しない人間になれるのです」 システマの哲学と軌跡に迫るドキュメンタリーの日本語版。正教との関わりからノンコンタクトワークまで、システマのエッセンスが凝縮された充実の52分。主演:ミカエル・リャブコ 数量限定生産。
システマ書籍
ブログ内検索
最新記事
おすすめショップ
〈システマDVD&システマグッズ〉
システマジャパンショップ
システマ大阪ショップ
QRコード
QRコード
BBS
会員制BBSはコチラ
システマクラスに継続的に参加されている方が対象です。
参加希望の方は「お名前」「所属クラス」「参加期間」を記入の上、フォームよりお申し込みください。