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モスクワセミナー2010報告 3日目、4日目

◎3日目午前 担当:ミカエル・リャブコ、コンスタンチン・コマノフ
・恐怖についてもう少し突っ込んだ話と、コンスタンチンによる関連ドリル

まずは昨日のちょっとした復習から。呼吸を用いていかに適切に体を動かすか。呼吸によってひとつの動きをつなげることが大切。それは恐怖を産まない身体の使い方でもある。強ばることで恐怖が募ってしまう。だから動き続ければ良い。

足をリラックスさせるやり方について。前のめりだとつま先に、後ろだと踵にテンションが発生。重心が踵よりだと、すると脳に衝撃が行ってしまう。だからそのどちらでもない真中に。その練習としてミカエルも一緒に軽いランニング。ミカエルの足は外見的には普通に踵から着地し、つま先から離陸しているがとてもリラックスしている。

システマではなぜゆっくりと動くトレーニングをするか。それは神経系を鍛える意味がある。筋肉ではなく神経系を鍛えることを重視。
神経系は免疫系、循環系など体内の多くのシステムに密接に関連している。
例えば神経系の強化によって免疫系もまた改善する。呼吸を用いたエクササイズで免疫疾患であるアレルギーなどが改善するのもそのため。


恐怖の根元について。
一番の恐怖の源は「未知」。人は知らないことに対して恐れを感じる。
未知の最たるものは「死後」のこと。死んだあとのことはわからない。だから死に対して恐怖感を抱く。
そして胸にある魂(Soul)は、常に罪(Sin)と隣り合わせという危険な状態にある。恐怖が募るとするに罪を起こしたい衝動に駆られる。だから魂の平安を保つ必要がある。

ここからはコンスタンチンのパート
話:恐怖と身体の関連について。
恐怖によってどのような身体的変化が起こるかリストアップする。心拍、呼吸、膝の震え、手のひらの汗などなど。人は経験したことのないことに対して恐怖を抱き、緊張を起こす。
例えばコーヒーカップを持つとき、どの程度の熱さかわからないと、もしすごく熱かったらと不安を感じて緊張が生じ、カップに手を伸ばす動きもぎこちなくなる。
でも一度触れて、熱くないとわかればとたんにリラックスして持てるようになる。

恐怖は上下2方向の影響を身体に与える。二方向とは頭と、身体。
恐怖が頭に生じると、攻撃的になったりなどの精神的な変化が生じて、身体が緊張する。身体の緊張がさらなる恐怖を呼び起こして、上方向に恐怖のエネルギーを送り込む。すると頭で増幅された恐怖のエネルギーがさらに加速されて下方向に送り込まれるという悪循環を起こす。すると周囲が見えず、サイキも弱まる。

恐怖には上限と下限がある。
下から上に恐怖がジャンプアップするのを防がなくてはいけない。
それを防ぐには身体の内的な変化を感じ、コントロールする必要がある。

その練習としてうってつけなのが、呼吸を止めるトレーニングである。
呼吸を止め、苦しくなってくると容易に恐怖感が生じてくるためだ。
例え恐怖が募っても自分で呼吸を再開すればすぐに空気を吸えるから心配するな。

ドリル:呼吸を止めるエクササイズ
呼吸を止めてプッシュアップ、スクワット、レッグレイズをする。
プッシュアップ、スクワットは15回、20回、25回。
レッグレイズは10回、20回、25回。
それぞれエクササイズを終えたらバーストブリージングで回復。
だが回復時に体を動かしてほぐしたりしない。呼吸を用いて内的な動きだけで解消する。身体の外側ではなく、内側の恐怖と緊張を解すトレーニングである。

恐怖は心拍と呼吸に影響を与える。これは呼吸を用いれば心筋に働きかけ、恐怖を抑えることができるということでもある。

リラックスして寝てブリージング。全身を呼吸でつなげる。

恐怖感を観察するドリル。
ドリル:AはBに近づく。Bは身体にどのような変化が起きたかを感じ取る。
ドリル:Bは眼を閉じる。Aは同様に近づき、Bは何らかの反応をする。
この時、Bはスムーズに動くように。決してビクンッと動かない。

色々な原因でBの姿勢が崩れる。するとサイキが働かなくなるので、姿勢を保ち、リラックスする。

ドリル:寝た状態で4人を乗せ、下敷きになった人がリラックスするドリル。脱出ではなく、圧迫された状態でもリラックスし周囲をよく感じ取れるようにするのが目的。脱出しようと慌てるあまりに捻れたり変な姿勢になったりすると神経系と体の構造が弱くなる。緊張が跳ね上がらないように。すぐに抜けようとするな。まずはリラックスして、自分と相手を感じる。緊張したり、リラックスしたりなど。
脱出する際には全身の緊張とリラックスを繰り返す。すると周囲に少しずつ隙間ができて、そこから抜け出すことができるようになる。

ドリル:コンスタンチンが棒を持って目をつぶり、追い掛け回してくるのをみんなで避ける。

→突発的な事態でも、内面が静的な状態にあれば、(認識)時間を延ばすことができる。


◎3日目午後 担当:コンスタンチン・コマノフ
恐怖を知るドリルの続き
話:痛みへの恐怖が緊張を呼び起こす。だからつねり上げたり関節を極めたりなどの安全なやり方で、ある程度経験しておく必要がある。
恐怖は身体ではなく、頭で作られている。目から入った情報を脳が認識し、恐怖が生じる。

パンチを受けるトレーニングや痛みを伴うマッサージも、恐怖を知るトレーニングの一環。だが急激に強い恐怖を与えてはいけない。

例えばパンチの練習であれば、はじめのうちは相手を卵だと思って丁寧に叩いていく。それで大丈夫だと判断したら、徐々に強くしていく。

あらゆる限界は身体を縮こませる。それをストレッチする必要もある。
システマのエクササイズはなぜゆっくりと行うか。それは、緊張している部位をストレッチすることができる。

ドリル:プッシュアップ、スクワット、レッグレイズをゆっくりと20カウントづつ。

ドリル:自分の繊細さを知る。
・Aがうつ伏せに横たわる。BはAを指先で触れる。Aは触れられた部位だけ緊張させ、リラックスさせる。
・大きな緊張を指先や中高一本拳などで押しこんでいく(マッサージ)
Aはリラックスしていく。予期せぬ緊張を解していく練習。

ドリル:集団戦 2グループにて
二列になって向かい合う。
・ただすれ違う。
・早足ですれ違う。徒歩ですれ違う。徒歩の方が色々と感じられる。
・眼を閉じてすれ違う。
・片拳を前に出してすれ違う。
・両拳を前に出してすれ違う。徒歩、早足。
・目をつぶって同様に。拳当たる。
・バーストブリージングしながら同様の早足、拳突き出しなどですれ違う。
恐怖を感じたらすぐにバースト・ブリージング。最初からやっても良い。

ドリル:群衆でのアタック
・群衆で押し合う。一歩で吸って一歩で吐いて。自由に動けない中でもリラックスする。
・ゆっくり押し合う。
・息を止めて押し合う。限界に達したら輪の外に出てバーストブリージング。
緊張やアグレッシブさを内面に引き入れない。

ドリル:寝てのリラックス 3種。

ドリル:スティックを躱す
・振り回す一人に、ひとりずつ向かっていく。
・4人が並んで思い切り振り回しているところをすり抜けていく。

いずれもCalmに。姿勢を崩さずに。スティックを目で追ってタイミングを見計らったりしない。

ドリル:壁際でパンチの連打を受ける。
恐怖に対する一番ハードなトレーニングのひとつ。はじめはマッサージのように。次第に強度をまして強烈に打ち込む。相手のプレッシャーを感じたらリラックス。
プレッシャーをかけてテンションが入ったところをストライク。
ある程度打ったらやめてリラックス。

Q&A
呼吸と身体運動に直接的な関連はあるのか。
A・コンスタンチン、思い切りの呼吸とともにプッシュアップをするように指示。
すると呼吸が動きをヘルプしてくれるのが分かりやすい。

筋肉を使わずに動くには、まず呼吸をする。それで間に合わなかったら、体を色々と動かす。緊張が生じないように慎重に。

仰向けに寝て片足を上げたり、スクワットやプッシュアップなどの代表的なエクササイズも、一切緊張を使わずにやるにはどうすればいいか、研究してみると良い。


◎4日目午前
スティックワーク 担当:ミカエル・リャブコ
話:スティックなどの道具を用いると、素手の時とは異なる緊張が生まれる。道具を腕や身体で動かそうとしてはいけない。あくまでも道具をよく感じ、その重さに乗って動くようにする。これはスティックだけでなくナイフ等ほかの道具も同様。

ドリル:スティックを使ったエクササイズ。スティックを持って快適に動く。
呼吸と共に歩きながら姿勢崩れないように色々と動かしてみる。
姿勢が崩れてもすぐに立て直すように。呼吸とともに歩きながら。
1歩から7歩までは歩いて、八歩から一五歩までは走って。

・スティックエクササイズ 担当:ウラジミール・ザイコフスキー
スティックが倒れる力を利用し、身体の前で風車のように回転させる。
前面、背面でも同じように。また、ローリングしながらも同様。

腕、肩、頭などに乗せてバランスを取る。棒の重さや重心を感じ、いっさい緊張しないように。

スティックを背中に乗せてプッシュアップ。腕に乗せてローリングなど。
スティックを腕、肩、頭などに乗せてスクワット。スティックに下に押されるのを感じながら。
スティックを手に乗せたまま眼を閉じ、バランスをとる。
様々なやり方でスティックのバランスを取る。

ローリングをしてスティックで補助しながら立ち上がる。
仰向けから棒で立つ。
うつ伏せから棒で立つ。
棒を伝って下に降りる。

要点:スティックを感じる。身体の動きを杖に伝えるのではなく、杖を感じその重さを最大限に利用する。

・スティックワーク 担当:ミカエル・リャブコ
グラップなどしてくる人をスティックで叩いたり、絡めて倒したりする。
スティックで“縛ったり”するのも行う。

スティック縛りは相手のバランスが崩れそうで崩れない微妙なところに持っていく。


◎4日目午後
・スティックワーク ミカエル
スティックを持たせて、テンションを攻めることでコントロール。
倒れた状態から立てないように。スティックを通じて相手を感じる。
そのデモンストレーションをたくさん見せてもらう。

・パンチについて 担当:ミカエル
様々なパンチのデモンストレーション。
ドリル:パートナーを適切な方向で押す。
これをパンチにしていく。
パンチは力を抜くのと方向性が大事。相手が崩れるような方向で打つ。

・パンチのドリル ダニエル
パンチを打つ際の姿勢や位置関係について。
自分にとって快適な姿勢、位置関係を探る。遠すぎたり、近すぎたりすると威力が乗らない。
打ちにくい位置関係、打ちやすい位置関係を知る。
色々な位置関係で拳を当て、パンチを当ててみる。
→動く相手に対しても同様に。

・修了式

◎27日午前 追加クラス ダニエル・リャブコ
・ウォーミングアップとマッサージ
歩きながらブリージング。
ローリングをしながらブリージング。
手押し車をしつつ、たまにプッシュアップを10回行う。
パートナーの上を転がる。
プッシュアップを10秒行い、10秒休む。これを5分繰り返す。
スクワット、レッグレイズも同様に。
パートナーとマッサージをしあう
マッサージのあと、2分ほど休む。
以上、セミナーとパーティーの疲れを取るためのリラクゼーションとして。
そのままグラウンドワークへと続く。
倒れている人をつま先などで蹴る。蹴られた人は蹴る力に乗って動く。
倒れている人を蹴る。倒れている人は体を動かしてかわしていく。蹴ってくるのと同じ方向に逃げるのではなく、つねに角度を変えるように。

・質問タイム
日本セミナーなどでダニエル達がときおり見せていた、腕を大きく回して相手を投げるやり方について。
→両手を相手につかませ、前後左右のバランスを崩すことで生じる緊張を使う。

重心が前後左右いずれかに偏ると緊張が生じる。その緊張を用いて崩す。
リラックスは完全な脱力とは違う。ギターの弦のような張力が必要。
相手の緊張をよく感じる。

相手がつかんでくるのに対しても同様に行う。

続いて、足の動きをプラスする。これによってここまで養った動きの威力を大幅に増すことができる。

※最初から足の動きに頼るのではなく、まず相手の緊張、崩れる方向などをよく感じる、という流れ。

「相手の緊張を感じる」というテーマから発展したワークへ
ドリル:向い合って相手と押し合う。
同様に4人で行う。
同様に全員で行う。
向い合って二人一組で1から20までパンチしあう。


総括:
システマにおいては、パンチやグラウンドなどあらゆる技術を学ぶ。だが、多くの練習生はそこそこの練習を積み、初心者レベルを脱すると、上達の「壁」に行き当たる。これは他の多くの武道やスポーツにおいても同様に見受けられる現象だ。

その壁は何か。それは自身の「緊張」である。いくら動作にこなれても、緊張を制御できないうちは自らの緊張によって動きが阻害され、思うような上達を得ることができない。

その解決策して提示されたのが、今回の「恐怖の除去」というテーマであろう。なぜなら、ミカエルが言っている通り、全ての緊張の背後には「恐怖」がある。緊張の制御とは恐怖を知り、それを制御することに他ならない。

それはつまり、全ての「壁」に行き当たっている人に対する、システマ的な「答え」と言えるのではないだろうか。

言い換えれば、次のステップへの扉を開くための「鍵」である。

8月に行われた「SUMMIT OF MASTERS」でも、「内的状態(STATE)」を保つことに主眼が置かれていた。

いずれも緊張の「源」を断ち切るためのアプローチである。

(総括書きかけ。続くかも?)


また今夏のトロント、モスクワセミナーの模様は月刊秘伝でもレポートする予定。
それと10月1日に行う「トロント・モスクワシェアリングクラス」でも盛大に情報をシェア出来れば思っております。いずれかのセミナーに参加された方はぜひ報告にいらしてください。

それと今回、ミカエル・リャブコによって新たに4人の日本人参加者がインストラクターに認定されました。

ヨシさん、柴田さん、吉田さん、アヤさん、おめでとうございます!

CIMG0870sml.jpgミカエルと新インストラクターたち

Tag:海外セミナーレポート  Trackback:0 comment:2 

Comment

カズ URL|
#- 2010.09.30 Thu08:39
素晴らしい!
どんどんアップしてください。
いや新インストラクター誕生うれしいですね。

ところでアオちゃんもインストラクターになったの?
きたろう URL|Re: タイトルなし
#- 2010.10.04 Mon11:01
> 素晴らしい!
> どんどんアップしてください。
> いや新インストラクター誕生うれしいですね。
>
> ところでアオちゃんもインストラクターになったの?

僕の場合、文章にすることで頭の中もまとまるのですよ。なので実益も兼ねて思い出したことをアップしていきますー。

ちなみにアオちゃんはまだインストラクターになってません(笑)

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プロフィール

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Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。株式会社アトス代表取締役。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでの講演するほか、テレビやラジオなど各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。ヤングマガジン連載「アンダーニンジャ(花沢健吾著)」、NHKドラマ「ディア・ペイシェント」監修。
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