SUMMIT OF MASTERS 2010 IiTの認定

今回のキャンプでは、インストラクター・イン・トレーニングの認定が行なわれました。

インストラクター・イン・トレーニングとは直訳すれば「トレーニング中のインストラクター」という意味。「インストラクター研修生」という訳が適切でしょうか。

日本では現在7名ほどのインストラクター・イン・トレーニング(略してIiT)がいて、システマジャパンなどでクラスを受け持っています。

これはもともとトロント本部でスタートした制度でして、「インストラクターになりたい」という意志をヴラディミアに伝え、いくらかの審査や面談を経て承認を得ることで、IiTに加わることができます。

これに認定されると公式のシステマクラスを持てるようになり、数ヶ月間指導実績を経た上で、再度ヴラディミアに審査してもらうことで、晴れてインストラクターになることができます。

今回、その審査が行なわれたのですが、ミカエルがいるのと合宿ということでいつもと少し毛色の違うやり方で審査が行なわれました。

まず審査の前日、IiT志望者はキャンプに参加しているインストラクターから自分好みの人を選んで、その人のもとにつきます。それから審査までの間、インストラクターとして必要なことや技術的なことを色々と質問をし、アドバイスをもらうのです。

「インストラクターは前に出なさい」と言われて、私もその中に加わったのですが、その時一緒にいたのが結構キャリアの長い、大先輩インストラクターばかり。私などの下につく人はいるのかな、なんて不安に思ったのですが、唯一のアジア人インストラクターだったのが良かったのか、シンガポールから来た2人組が、私のところにやって来ました。

彼らは職場で知り合った武術仲間。方や合気道、かたや詠春拳を学んでいましたが、「システマをやってみたい」という思いで意気投合。2人ともシンガポール航空のスチュワートということもあって、仕事でモスクワに行ったおりにモスクワの本部クラスに参加したりしつつ、シンガポールで2人で練習しているそうです。ですが今、シンガポールにはシステマのクラスはなく、システマをやっている人も他にいません。

だから自分達でシンガポールでシステマのトレーニンググループを始めたい、というのが彼らがIiTを志願した動機です。

責任重大ですが、私はとても嬉しくなりました。システマをシンガポールに伝えるお手伝いができるのですからね。

というわけで、他のIiT候補生やインストラクター達と同様、ちょっとした空き時間を見つけては彼らと一緒にちょこちょことトレーニングをしました。

そこで私が対策としてやったのは、「なぜ、システマを教えたいか」「システマとは何か」「なぜ、自分がシステマを選んだのか」という理由を、きちんと述べられるようにしておくこと。審査ではプレゼンテーションのほかにデモンストレーションも行なう、とのことだったので「相手を壊すのではなく、リラックスさせる」、「ブリージング」の二点にしぼって、技術的なチェックもしました。

一緒にトレーニングして分ったのは、2人ともかなりクレバーだということ。私がした技術的アドバイスをまたたくまに吸収し、すぐにその場で動きが向上してしまうのです。なんだかすぐに追い越されてしまいそうなほど。それほど素質ある2人でしたので、審査でのデモンストレーションや面談もきちんとこなし、ミカエルにも「まだ自信が足りていないが、カームだしリラックスしているし、なかなか良い」とのコメントをもらうことができました。結果はもちろん、合格です。

彼らが「システマ・シンガポール」の創始者になるのかも知れませんね。

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審査中の2人と私。なんだか私が一番緊張しています。

s_CIMG0448.jpgおめでとう!!


システマジャパンから参加したKくんは、ニューヨークでヒョードルも訪れたシステマジム「Fight House」を運営するエドガーのもとにつきました。こちらもエドガーの念入りな指導の甲斐あってか見事に合格。新たな日本人IiTが誕生しました。こちらもおめでとうございます。

s_CIMG0393.jpg丁寧なアドバイスでK君を指導するエドガー。


 ミカエルなどのシステママスターは、言葉や技術だけでなくその醸し出す雰囲気で人を導く力があります。回りくどい言葉で言い聞かせたり、技量を見せつけるようなことはありません。うまく技ができたとしてもさも当たり前のことのように振る舞うだけで、得意がったり優越感にひたったりすることもありません。相手の事を繊細に観察し、よりリラックスできるようにサポートしていきます。ですが例え生徒が上達したとしても、自分の手柄とは考えません。生徒が自身の努力によって達成したものと見なします(たぶん)。

これに関してミカエルはこんな事を言っています。
「インストラクターは生徒を成長させることはできない。生徒が成長するだけだ」

今ではいくつかのシステマクラスを任せていただいている北川ですが、マスター達のそういう態度を見失わないように気をつけ、いかにすればそのような振る舞いを自然にできるか考えています。でもすぐに得意がったり、優越感に浸ったりしてしまうので、道はまだまだ長いです。

この辺に関しては、ヴラディミアがこんなことを言っています。

「自分を強く見せたいと思う気持ちは誰にでもある。それ自体は間違いではない。でもそれが行き過ぎるといけない」

とは言え、まだまだ人格が未完成の私としては、どれだけ押さえているつもりでも「行き過ぎ」であると考えた方が確実そうです。

他にミカエルが言っていたのは
「人から学ぶだけでは5割しか理解することができない。人に伝えることで初めて9割理解できる」
(ちなみに残りの1割については不明です)
「子供達に対しては、大人のように一律に教えるわけにはいかない。ひとり一人に気を配り、指導法を変えることが大切だ」などなど。

また、ミカエルは「人の数だけシステマはある」と言います。ですから指導法も多種多様であるべきです。ですがあえて私個人的には、今のマスター達のようにありたいと思っています。そういうインストラクターを目指す仲間が1人でも増えれば、ちょっとばかり心強い限りです。


ところで、先日発売されたDVD「システマ入門」をヴラディミアとミカエルにぜひ手渡ししたいと思い、このキャンプに持っていったのですが、ヴラディミアはすでに誰かから受け取って観たあと。お陰でヴラディミアから直接、感想を聞かせてもらうことができました。

「内容はだいたい良い。ただ少しだけミステイクがある。それは背後から達人的な雰囲気のようなものが感じられないことだ」

まったくもって確かに、という感じですね。言ってみれば「後光」や「威厳」が足りない、ということかも知れません。これは私にとっての大きな課題です。もっとマスター達に触れ、経験を積み、自信を深めることでしか、得ることができないのではないかな、と思っています。

どなたか存じませんが、ヴラディミアにDVDを渡して下さってありがとうございました。お陰で感想を聞くことができました。それとももしかしてヴラディミアがアマゾンで買ったのでしょうかね。


なんだか認定試験の報告やら、インストラクターとしての個人的な心がけやらごっちゃになってしまいましたが、報告はまだまだ続きます。

Tag:海外セミナーレポート  Trackback:0 comment:2 

Comment

カズ URL|
#- 2010.08.26 Thu12:51
プレゼンやらスピーチやらデモやら実は大変なんですね。
あっしは正式にIiTの資格ももらっとらんし、スピーチもなにもやっておまへん。
もしかして最後の裏口入学インストラクター?
きたろう URL|
#- 2010.08.27 Fri08:27
ヴラッドがカズさんの内面の奥底までをも見通しての判断なので問題ないかと。そもそも今、日本で活動しているインストラクターはみんな裏口入学ですね(笑
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北川貴英:システマ東京主宰。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。首都圏を中心に各地で年間400コマ以上を担当。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでのセミナーや各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。
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