「そして静寂へ…Part2」by コンスタンチン・コマノフ

コンスタンチンによる論文「そして静寂へ」の続編です。Part1をまだお読みでない方は、まずコチラからお読みください。

「そして静寂へ… -いかにして静かに動くか- Part2」  
by コンスタンチン・コマノフ

では本題に入ろう。静かな動きの鍵となる要素と特徴とは何か?

静かな動きの主な要素は、個人の内面における静寂だ。それは動きの滑らかさと正確さをもたらす。精神的に不安定で不適切な反応をする人物は、騒音を立てずに何をすることもできないのだ!

内面の状態のあとに静かに動く技術を身につけるのだ。

立った姿勢

四つん這い

匍匐前進

障害物の上、またはその周辺

水中(水に入る、泳ぐ、潜る、そして水から出る)

視界のないところ。

これらのスキルは異なる地形、幅広い状況、異なる速度において、さまざまな任務をこなす中で完成させられる。

静かに動くスキルの習得と並行して、身の回りにある様々なものによる音の特性を学ぶ。周囲を感じる技術を学ぶのだ。また物体による“反響”を低減する様々な方法をも探っていく。そして最終的には人間の身体と精神が音をどのように感知するのかという知恵を獲得するのだ。

このワークは非常に幅広いのでどのような場所でも出来るし、求められるレベルや深さに応じてほんの数日で済ますことも、数ヶ月かけることもできる。このワークの鍵は、知識を得る事ではなく確かな技術を身につけることであることに注意してもらいたい。内面の変化を経験したときにのみ、それが可能となるのだ。

では私たちの部隊に配属されたばかりの新人と一緒にやった特定の例に応じて、要素の優先順位づかから始めよう。彼らは全くの新人ではなく、空挺部隊や特殊部隊のトレーニング部隊で6ヶ月の訓練を積んだ軍人達だ。

我々は内面の状態こそが、静かに動くための最も重要な要素である事を認識している。だからまずはその要素をカバーする。

内面の問題は次のような複合的な問題が含まれているために複雑だ。

・個人の精神や気質における先天的な特徴

・個人によって形成された人格的特質

・それまでの人生で学んだ、神経系の緊張を取り除くやり方、技術

・恐怖感を感じ、それとともに行動する能力

・感情の調節とコントロール。極度の感情の経験。

・ワークを始める際に蓄積されている内面の緊張。そして、

・その他多数の外的な要因

要するに静かに動くためには精神的な「極度の緊張」をフラットにしなくてはならない。余計なストレスは精神的、もしくは身体的な習練によって解消することで自身を落ち着かせ、リラックスさせるのだ。これは静かに動くための技術を完成させる上での前提条件となる。

実際にはどのようにしてワークに求められているような内的な条件を満たすのか。

この疑問は複雑だが、答えはとても簡単だ。なぜなら我々はこれまで兵士一人一人を完全に冷静にさせるだけの時間をもてた事がない。あらゆる緊張や不安はさらに高いレベルのストレスや強い緊張によって解消することができる。我々は「火をもって火を制する」、そして「頭を使って手に入れられないなら、体を使って手に入れるべし」という原則に従うのである。
         
まず、新入生達が内的な緊張、闘争、ざわつきが表に出て来ることを確認する必要があった。それらが表出するように調節するのだ。これは限られた時間の間、一定の身体的な要求をし、心理的なプレッシャーを徐々に増していくことで、約1週間の準備期間のうちに達成された。彼らはフィールドトリップにおける24時間のクライマックスにおいて“沸点”に達したのだ。

通常、我々は夜の突然の警報によって一人当たり30キロ以上の荷物を背負い、30キロに及ぶ行軍を開始する。その行進には、戦術や射撃の訓練や危険な水域を含む高度な障害のあるコースの走行、その他様々な“小さな生きる喜び”が含まれていた。日中の訓練は夜までぶっ通しで行なわれ、朝方に“目標施設”への襲撃や“囚人”の確保、逃亡者の追跡、素早く敵を制圧するための徒手格闘を行い、そして“我々のテリトリー”へと帰還するのである。これがフィニッシュラインだ。

24時間の訓練の間、精神的な緊張は徐々に高まり(終盤にはかなり厳しくなる)、人を望ましい状態へと至らせる。終わりに指揮官は短いスピーチをし、皆をシャワーやランチ、休憩のために“ホームベース”へと帰らせた。訓練が翌日にまで続くことはない。 本当に価値のある仕事がスタートするためだ。個々の準備、チームの団結、そして静かな動きを含む特殊な戦術である。

トレーニングが進むにつれて、その隊員たちの精神状態は訓練の最中、絶え間なく観察され、元気づけられ、そしてさらに成長して行った。どんなに蓄積された緊張も、短気も同様の方法で“処理”された。

人は自らの内面について、限りなく話し、書くことができる。だが言葉を通じて理解することはできない。ただ感じることによってのみ可能なのだ。内面の状態は自分自身で経験することから始まるのである。

次のニュースレターに続く

著者について

コンスタンチン・コマノフ
・警察機構特殊部隊少佐 
・ロシア軍偵察
・戦闘心理学博士
・モスクワ要人のプロフェッショナルボディーガード
・Summit of Mastersに参加するマスターの一人

コンスタンチンの論文はドミトリ・トゥルファノフ(システマシカゴのインストラクター)によってロシア語から英語へと翻訳されています。

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北川貴英:システマ東京主宰。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。首都圏を中心に各地で年間400コマ以上を担当。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでのセミナーや各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。
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