ヴラディミア・ザイコフスキーセミナー 3日目

テーマ:ストライク

午前:パンチの打ち方、受け方

・プッシュアップ
力を抜く。負荷を全身に分散させる。
肩の力みを抜くには、肘を軽く曲げる。腰の力みを抜くには、腰の負荷を膝へと流す。

・プッシュアップで肩を回す。
片方ずつ、前後回転。両肩で同時に。両肩を反対方向に。

・プッシュアップでバランスをとる
プッシュアップの姿勢から、片手を床から外す。右手左足、左手右足といったように、片手片足を外す。同側の片手片足を外す。

・腹部へのマッサージ
仰向けに寝た状態で。最初は軽く、ゆっくりと押し込む。相手のレベルを見極め、徐々に強く、ペースをあげて行く。
パンチを予期して自分から呼吸しないように。呼吸によってお腹を柔らかく保つ。

立った状態で。
パートナーを替えたら改めて軽いマッサージから始める。新しいパートナーに対する慣れと信頼関係を養うため。慣れてきたら徐々に強くし、パンチにして行く。→パンチの深さを変える。深いパンチを打つ。軽くても、深いパンチを。

パンチを受ける際には全身をリラックスさせる。膝を軽く曲げる。鳩尾にパンチを受けるのに慣れるには、最初は軽いプレッシャーに対し、呼吸ではじき返すようにする。徐々に負荷を高めて行く。

パンチの練習を終えたら、呼吸によって全身と身体の内部をリラックスさせる。身体の深部の血流が滞っていたりするので、それを良くする。プッシュアップ、スクワット、シットアップを早いペースで30回ずつ。


午後 ストライクの精度を高める
・立っている相手の足に足を当て、プレッシャーを与えて崩す。
足でちょんちょんと様々な位置、角度から衝撃を与えて、それがどのように相手の身体に作用するかを調べる。感じ取る。この際、片手を相手の肩に当てておくと、どのように衝撃が伝わってくるかがより良くわかる。
足だけでなく、相手の全身に自分の力を作用させてコントロールする。
相手の全身に作用させる力に、明確な方向性を持たせることで効果があがる。自分の全身を一つにし、一つの方向性に集中させる。

・拳で相手をコントロール
足と同様。拳で相手をコントロールする。相手の全身に力を作用させる。方向性を明確にする。それによってコントロールする。

パートナーと組んで、お互いにパンチを打ちあう。最初は軽く、丁寧に。
次第に強さをあげて、最後は全力でパンチをしあう。

・全員で感想を言って終了。



〈雑感〉
今回のセミナーは参加者それぞれに、よく考えさせるスタイルが特徴でした。質疑応答についても明確な答え(固定化された答え)を知りたがる質問に対しては常に「良く感じて下さい」「あなたはどう思いますか?」と、自分自身で解決させるような受け答えをする場面が多々ありました。今回、ザイコフスキーが伝えてくれたことの一つに、「システマへの向かい方」があるように思います。システマをどのように学び、理解して行くのか、という姿勢です。

これは「システマとはこういうものだ」ということを伝えるほとんどのセミナーとの根本的な違いだったように思います。そのあり方としてザイコフスキーは「あらゆる情報への感度を高めて、自分で自分に見合った答えを見つけて行く」というアプローチを提示してくれたのかな、と。

それには学んだことや感じた事を元に試行錯誤していくほかありません。それは誰か先生から「絶対的な答え」をもらう事よりも、真理と言えるものに近づく近道なのでしょう。システマには秘伝はない、というザイコフスキーの言葉はそういったことを伝えているのではないでしょうか。

また内容に関しては「身体を一つにして使う」「相手の緊張を利用し、全身をコントロールする」というシンプルな原理を3日間かけてじっくりと検証し、理解を深めていくという流れでした(あくまでも個人的な見解ですが)

09年9月に行なわれたシステマジャパン主催のロシアツアーにおいて、ミカエルは「相手の緊張を使う」というアプローチを徹底的に深めていく、という流れでセミナーを進めてくれたのですが、それと同様のことを感じます。また、ザイコフスキーの伝える「リラックス」が、ふにゃふにゃの脱力した状態ではなく、全身に上手く負荷が分散した状態のことを指していることが分かったのも大きな収穫でした。

今回のセミナーではしばしば「良くわからない」と、困惑しながら練習している人が多く見受けられたように思います。言われていることは分かるのだけど、いざ自分でやろうとすると分からない。例えて言うならとっても面白いパズルを渡されたのだけれども難易度がなくて攻略本もなくて、どうすれば良いか分からない、というニュアンスの「分からない」ですね。

私はこの「分からない」という感想は、今回のセミナーに関しては正しい感想の一つだと思うのです。それはつまり、ザイコフスキーが分かりやすく教えなかったからではなく、自分の感性に問いかけ、自分自身で答えを見つけるように仕向けていたからですね。だからザイコフスキーから何らかの明確な「答え」を受け取れるものと期待していると、「わからない」という状態に自動的にシフトすることになります。

私はこれって、非常に貴重なのではないかと思うのです。なぜなら「分からない」という感覚がないと、分かろうとする意欲も湧きませんし、自分で考えようという態度も生まれません。指導者はえてしてすぐに分からせたいと思ってしまいがちということもあって、この「分からない」という状態をじっくりと味あわせてくれる機会はなかなかないからです。

でも実は「答え」はすぐそこにあるのですよね。ザイコフスキーなりの「答え」はザイコフスキーの技を感じ、こちらもザイコフスキーに技をかけてチェックしてもらうことで得ることができます。

そして自分なりの「答え」は、自分の身体、相手の身体などなど自分の感覚をフル動員することで少しでも多くの情報を感じ取り、それらを元に自分にとってもっとも快適な動きを見つけていくことで得られるはずです。

ザイコフスキーが今回、「時間をかけて練習するのが大切だ」と言っていましたが、それはヒントとなる情報を蓄積し、自分向けに再構成するにはある程度の時間が必要だ、ということを言っているのではないかと。


ヴラディミア・ヴァシリエフは著書の中で「誰かから学んだ動き、テクニック、知識はしょせん借り物だからいざという時に全く役に立たない。本当に自分を助けてくれるのは、自分自身の内面から出てくる動きだ」といったことを述べています。これは端的に「自分を知る」という事が一番確実に強くなる道なのだ、と言い換えることもできるでしょう。

「あらゆる情報をよく感じる」「自分で考える」ということを主体とする、今回のセミナーでザイコフスキーが提示した練習法は、「自分を知る」というシステマの根本的な理念に沿う、必然的なやり方なのではないかと思います。

…こういう練習法だと、お互いにどういうことを学んだのか、気づいたのか、といったことをシェアすることがとても役に立ちます。だからこそザイコフスキーは今回のセミナーで、しばしば参加者に技を受けた感想を語らせていたのでしょう。というワケで、普段は「情報を提供する」という立場に立ち、なるべく私的を意見を避けているこの「システマブログ」ですが、今回は北川の個人的な見解を書いてみました。適当に読み流していただければ幸いです。


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プロフィール

TKHDKTGW

Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。首都圏を中心に各地で年間400コマ以上を担当。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでのセミナーや各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。
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