ストライク ーうまく受けるか、悲嘆にくれるかー その1

お待ちかねの皆様、たいへんお待たせしました。トレーニングTips日本語版の最新版を掲載します。

今回、訳したのは08年の9月30日にトロント本部のサイトに掲載された「Strikes. Take It or... Grieve It...」です。

システマをされている方ならおなじみの「ストライクの受け」について、ヴラディミアがたっぷりと語っています。英語が読める方はまずぜひ、英語版をお読みください。この訳は私が訳した後に、システマを長くやり込んでいる、英語と日本語が堪能な第三者に監修してもらっています。


ストライク ーうまく受けるか、悲嘆にくれるかー その1
(ジムでのヴラディミアへのインタビューより)

生徒:私たちはあなたがストライクに関する新たな本を執筆していると聞きました。そこではトピックの一つとして、“ストライクの受け方”が取り上げられています。これはあらゆる格闘技や護身術、ひいては人間の心理について学ぶ全ての人達にとって、とても関心のあるテーマと言えるでしょう。システマのトレーニングにおいては、この技術はとても重要視され、かなりの時間がその学習に費やされていますが、それはなぜなのでしょうか?

ヴラディミア:あなたは、“なぜそれを学ぶのか”、と尋ねました。しかしパンチを受けた生徒達は“なぜ私が?”という疑問も抱きます。ストライクの受け方を学ぶ理由は、二つあります。表層的なものと、心理面に根ざしたものです。

どんな優秀な戦士でも時には打たれてしまいます。見えないストライクや、後ろからのうまい攻撃、また予測できないようなストライク。また物や武器での攻撃など、予想よりも威力のある攻撃を受けることもあります。

多くの格闘技や格闘家と接した私自身の経験では、ファイター達は自分が相手より先にパンチを当てようとしたり、逃げたり、かわしたり、ブロックをする事によって攻撃を避けようとします。しかし彼らが実際に打撃が当たった場合のことに関して話すことは、めったにありません。

また、あえて身体のさまざまな部分を強化し、または固く緊張させ、痛みに耐えることで打たれることに備えるというアプローチもあります。そのような練習がどれだけ破壊的な結果をもたらすかは別として、これらの対策では目に見える、ある程度予期可能なストライクに対して、余裕のある環境で対処することしかできません。しかし、もしあなたがストライクを見ることができなかったり、動いている最中だったりしたらどうでしょう? その時、あなたは筋肉を緊張させるのではなく、リラックスさせる必要があるのです。

私は、熟達した武術家達が予期しなかったパンチを受けることで、どれだけショックやパニック、憤りといった、非効率的で我を失った状態に陥ってしまうかを見てきました。加えて私は、複数の相手との戦いや、集団戦において、全ての攻撃を避けることのできるファイターを見たことがありません、あなたはそれを10人以上の戦士のグループによって、容易に確かめることができるでしょう。

クラスの中で、繰り返し見かける典型的な例をご紹介しましょう。大きく、強く、格闘技の経験も豊富な人物が、新たな生徒として加入します。そして私たちはマスアタック(集団戦)のトレーニングを始めます。ジムの中央に全員が集まり、お互いにお互いをあらゆる方向から殴り合うのです。その新人は背後から頭を叩かれ、仕返しをするために後ろを向き、身構えます。その瞬間、彼は反対方向からパンチを受けます。彼はいくぶん怒りを込めて、その方向に拳を飛ばす準備をし、方向転換をします。すると当然、彼はまた反対方向から打たれてしまいます。彼は良いサンドバックの様に、くるくる回されてしまうのです。そしてついに彼は理解します。パンチに対してパンチでお返しするやり方は、マスアタックにおいては通用しないということを。こうして彼は息を吐き、手近な人にパンチし始めるのです。

不幸にして私たちのうちの大部分は、パンチが触れることですぐに報復し、殴り返してしまうといった行動を、反射的に行ってしまいます。これは“プライド”によるものです。システマのパンチを受けるトレーニングは、“プライド”に直接働きかけるのです。

生徒:あなたはいつ、パンチを受けるトレーニングの必要性を感じたのですか?

ヴラディミア:また私が若く、多くの衝突に関わっていた時には、私のようなタイプの体ですと、どんな状況でも動き、ローリングをし、捻ったりすることで、どんなパンチからも逃れ、かわす事が出来ました。それはしばらく通用しましたが、私はいつも必ず逃れられるわけではないことが分かってきました。そして実際、私はそれを数々の負傷によって学んだのです。まず首の筋肉をひねり、次に肋骨を折り、その後には膝のじん帯が断裂してしまったのです。

これらの負傷は私の機敏さの限界を明らかにしました。そして高い敏捷性や反応時間、そして強さが成功を保証するわけではないという切実な考えへと私を導き、自分が知っているあらゆる格闘技、おそらくほとんどの格闘技の教えには不備があることを認識したのです。

ところで、私がこれらの負傷を負ってしまった時でも、私は敬愛する師匠、ミカエル・リャブコとのトレーニングを行っていました。私は落ち着きのない生徒でしたので、しばしばジムの外でスパーリングを行い、異なる戦い方を試したり、何かを証明しようとしたりしたのです。私は自分のジムで15年間教えていますが、私の生徒達においても、とても似たような光景を目にします。負傷した生徒がクラスにやって来た時に、何があったのかと聞くと、たいてい彼らは、“週末に友達とレスリングをした”、とか、“サッカーやバレーボールをした”と答えるのです。

生徒:それはパンチを受けることと、どのような関係がありますか?

ヴラディミア:パンチは、潜在的な負傷です。ストライクや物理的なストレスからの身体の損傷を防いだり、最小に抑えたりするうえで確かな方法は、たった一つしかありません。この確かな方法を完全に提供できるのは、システマだけです。もちろん、呼吸ですね。

正しい呼吸を行いながら、損傷を受けるのはとても困難であると言えるでしょう。もし困難な状況に置かれ、トラウマを抱えるようなとき、ダメージは呼吸をしなかった場合に比べてはるかに軽減されます。

呼吸は私たちの身体が持つ資源のうち、最も興味深く、便利で最高のものです。もし自分達を向上させたいのであれば、私たちはこの鍵となる要素を、トレーニングや生活に取り入れなくてはならなりません。私たちが人(人間)を見る時、私たちは彼、もしくは彼女が完全であることを知るでしょう。私たちのトレーニング法もまた、全ての要素が一つのシステムの中で完全に繋がりあっているべきであり、それこそがシステマなのです。

(続く)

Tag:トレーニングTips日本語版  Trackback:0 comment:2 

Comment

ヒデ URL|なるほどなるほど。。
#- 2009.11.13 Fri13:42
翻訳していただけると本当に便利で助かります。
続編待ってます!!

ちなみに私の誤訳は「うまく受けるか、墓穴か」
でした。
きたろう URL|
#- 2009.11.13 Fri18:06
コメントありがとうです。「墓穴」ってある意味、とても正しい訳ですね^^;;;
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北川貴英:システマ東京主宰。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。首都圏を中心に各地で年間400コマ以上を担当。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでのセミナーや各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。
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