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春のシステマ体験クラス参加受付中

今春も各地でシステマの体験クラスが実施されます。

秋にはシステママスター、ヴラディミア・ヴァシリエフも来日するので、それに備えて早めにシステマの基本を身につけておく良い機会かも知れません。ご興味のあるかたはどうぞ参加してみてください。

◎朝日カルチャーセンター 大阪中之島教室
日時:3月12日(土) 15時~17時
担当:大西亮一
申し込み&受け付けはコチラ

◎朝日カルチャーセンター 新宿教室
日時:3月19日(土) 18時~21時
担当:北川貴英
申し込み&受け付けはコチラ

◎朝日カルチャーセンター 立川教室
日時3月9日、3月23日(水) 19時~20時45分
担当:北川貴英
申し込み&受け付けはコチラ

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コンスタンチンセミナー、さらに続きです



コンスタンチンによる「フィアー・コントロール」。

メンタルと身体の繋がりを理解するのに、このうえなく分かりやすくて確実アプローチではないかと思います。

最新DVD「Systema EXCELLENCE semina」に収まりきらなかった分が、さらに追加でアップロードされました。解説な主なので英語が苦手な方はしんどいかも知れませんが、似たアプローチは昨年9月に行われたモスクワセミナーでも行われていますので、それに参加した方に色々と尋ねてみても良いでしょう。

また2月中旬発売の「月刊秘伝」でも、モスクワセミナーのレポートが掲載されますので、ぜひ参考にしてみてください。

Tag:システマ動画紹介  Trackback:0 comment:0 

コンスタンチンセミナーのきわめつけ

「恐怖のコントロール」をテーマにしたコンスタンチン・コマノフのアプローチ。

恐怖によって内側に生じる微妙な緊張をほぐしていくドリルが中心となります。

その極めつけのドリルは「壁際でひたすらフルボッコにされる」というもの。

動画がアップされたのでご紹介します。



昨年、モスクワで新たなインストラクターになったYさんは、幸運(?)にもコンスタンチンに直々に相手をしてもらったとのこと。

ものすごい勢いでボカスカに殴られ、いわく「殺されるかと思った」とのことでした(笑)

これはあくまでも「仕上げ」のドリル。適切な手順を踏むからこそできることですね。

Tag:システマ動画紹介  Trackback:0 comment:0 

コンスタンチンセミナーの続き

先日の日記でも紹介した、コンスタンチンによるセミナー風景の動画、最新版がアップされましたー。



私は昨年の9月、モスクワセミナーでコンスタンチンに似たような内容の指導を受けたのですが、今だに結構大きな影響を受けていたりします。システマ式ブリージングへの理解を深めるうえでとても大きなヒントになりました。

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「手(ティ)を使う!」に出ていますー

琉球秘伝を指導する琉煌會の新著「手(ティ)を使う!」に北川が少しだけ出てます。

以前、月刊秘伝に掲載されたインタビューの採録ですね。

城間先生は一部のシステマーも講習会に通い、その技術を学んでいる確かな実力の持ち主。

技量はもちろん、技に心がこもっている稀有な武道家と言えると思います。

興味のある方はお読みになってみてはいかがでしょうか。参考になる部分も多々あるはずです。


琉球秘伝古武術 手(ティ)を使う! [単行本]
城間 啓史郎 (著)


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「恐怖のコントロール」byコンスタンチン・コマノフ

昨夏に行われた新道場こけら落としセミナーでのコンスタンチンのパート。

DVD「Systema EXCELLENCE seminar」に収められなかった部分がウェブで公開されています。

昨年9月にモスクワで行われた「フィアー・エリミネーション」セミナーでの、コンスタンチンのアプローチも圧巻でした。緊張を取るには呼吸とともに身体を動かすのが有効と思っていた私ですが、コンスタンチンは「身体を動かさず、呼吸だけで緊張を解消しろ」とのこと。そうすることでより深部に働きかけることができるのです。あれは目からウロコでした。

そんなコンスタンチンのアプローチを理解する助けになるはずです。



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ザイコフスキー特別クラス報告

2011年1月15日に戸山公園にて行われたザイコフスキーによる特別クラス。

残念ながら私は参加できなかったのですが、そんな私のために2人も報告を送ってくれました。

いずれもよくまとまっていて参考になる内容ですし、異なる視点から同時に眺めるのもとてもいい勉強になります。

というわけで本人の許可のもと、2つのレポートをどっと掲載します。寄稿してくれた両名に感謝します。




飯田橋クラスの常連、Jさん

ずは歩くことから。
1歩で吸って1歩で吐く。
それを15歩まで増やして、15歩まで行ったら、また1歩まで減らして行く。
その間に手を上に上げたり横に水平にしたりしました。
最後は手を下に下ろして全力ダッシュ。

【注意点】
自分にとって何が難しいことなのか感じるようにして欲しい。
いつも歩いたり走ったりするようにやって欲しい。

■ペアワーク

歩いているパートナーの背中にナイフを平たく接触させ、それが落ちないように自分の手のひらで抑える。
その状態で前の人に歩いてもらう。

慣れたら二、三歩おきにジグザグに。
パートナーの背中から前面(肩ごしに胸の方)にナイフを滑らせたり、最終的に指一本で抑えたりする。

【注意点】
ナイフを落としたくないからといって、パートナーの背中にナイフを押し付けてはいけない。
(パートナーが押されているのを感じないように。パートナーの動きを邪魔しない)

パートナーの背中に触れているのはナイフのみ。
かといって指でつまむようにナイフを持ってはいけない。

どのくらい力を抜いたら落ちてしまうか、パートナーが止まった状態でギリギリの圧力を自分で知る。
その圧力を移動する時も変えない。


■ペアワーク2
お互い向かいあう。
パートナーの胸のあたりに突き立てるようにナイフを接触させる。
ただしナイフを握ってもつのではなく、柄頭を手のひらで抑えるかんじ。
ナイフが落ちないようにギリギリの圧力で抑える。

パートナーに動いてもらう。
ジグザグ。急停止。急前進。方向転換。

パートナーに刺さってる圧力が変わらないようにする。
【注意点】
基本的に最初と同じ。
歩くときは、地面が本当に貴重で壊したくない場所を歩くように歩いて欲しい。

★同じ事を手のひらではなく肘で。

★最終的に向かいあって腿と腿でやる。


ザイコフスキーさん曰く、これは外だからやったワークであるとのこと。
室内であればクラウンドを含め色々やり方を考えることが出来るので、色々試してやってみて欲しいとのことでした。

そして後半はずっとナイフワークでした。
パートナーが刺してくるナイフを体を使ってディスアーム。


【注意点】
手を使わない。あくまでも大事なのは体。
どうしても手を使ってしまうのであれば、肘を体にくっつけてやってみる。

危ないのはナイフそのものではなく、使う人の体の動きである。

体がいつ動くか知っているのでそれに従う。

刺してくるパートナーのナイフを本当にもらって嬉しいプレゼントだと思う。そのように扱う。

パートナー、ナイフに触れる圧力は最初のワークで練習した感覚で。
パートナーが触れられたことに気が付かないくらい。


システマ山梨加藤さん

いつも土曜日の練習参加者は12名前後の戸山公園が、本日は40人を超す参加者です。
お隣のフットサルを上回る人数にパトカーも5分程その様子をうかがっています。
はい、そうなんです。

システマジャパンの水曜、土曜の練習は野外なのです。偉大な先輩方を輩出した、なんてサバイバルな環境ですこと。野外でもバシバシ、ロールもします。が、ザイコフスキーが気を遣ったのか、皆が汚れないようにと
グランド系の練習は今回はありませんでした。

以下、2時~4時の練習をお伝え致します。(実際は5時30分まで続きました)

ブリージング・ウォーキング 
1呼吸で1~15歩まで行い、15~1歩まで戻る間、両手を上げてウォークしたり
大西 亮インストラクターからの「自分にチャレンジして下さい」「もっと早く、もっと早く」と
檄が飛び、中盤8分猛ダッシュ。

ダッシュ後、リラックスして歩き、右肩のみ廻し歩く。
次に、左肩のみ廻し歩く。
最後に、両肩を廻し歩く。

パートナーの背中に、ナイフの刃を寝かせ、手のひらで押さえ
パートナーに一定のリズムで移動してもらい、ナイフを落とさずについて行く。

次に、手のひらから人差し指の腹で行い、最後は人差し指の一番先端のみで
ソフトにコンタクトし、移動について行く。

パートナーの胸に直角にナイフを当て、手のひらでナイフを支える。
パートナーの動きはかなり自由に動いてもらい、それについて行く。

パートナーの太ももにナイフを直角に当て、自分の太ももでナイフを押さえ
パートナーに移動してもらう。
(私の見える範囲では成功した人はいませんでした)

パートナーとナイフの取り合い。
ザイコフスキーのアドバイス。
大切なものを相手から受け取る気持ちで、ナイフをコントロールする。

以上が1日目のセミナーの内容です。
ザイコフスキーはとても優れたインストラクターです。
また、真冬の戸山公園、それも日没まで参加された皆様、また主催者
サポーターのインストラクターの先輩方、ありがとうございました。

Tag:国内セミナーレポート  Trackback:0 comment:0 

今週はザイコフスキーウィーク!

ザイコフスキーによるクラスが以下の日程で追加されました。

日時: 1月18日(火) 10時~12時 
場所: 新宿スポーツセンター(入場料400円)
費用: システマ会員3,000円/一般5,000円

なお、1月17日(月)、19日(水)、20日(木)のシステマジャパンレギュラークラスもザイコフスキーがリードするそうです。

お時間のある方、ぜひ参加してみてはいかがでしょう?

以下は香港で行われたセミナーの模様です。





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ザイコフスキーセミナー報告

1月17日に行われたウラジミール・ザイコフスキーセミナー

うろ覚えで申し訳ないのですが、だいたい次のような内容です。

◎パートナーとコネクトしながらのローリング
・お互いの人差し指の指先をつけて
・お互いの5本の指の指先をつけて
・お互いの足の裏をつけて
・お互いの足の裏を肩につけて

最初はひと呼吸で1回転(吸いながら1回転、吐きながら1回転)
慣れた頃にひと呼吸で2回転。これにも慣れたら倍のスピードで。

◎全員でコネクトしながらのエクササイズ
・輪になってプッシュアップの姿勢。片手を隣の人の肩に当て、片手でプッシュアップ
→これは自分が隣人から受けた力を反対側の隣人にきちんと伝えるのが大切。うまく行けば力がドーナツ状につながって、ラクにプッシュアップができる。
・輪になってスクワット
講師の拍手にあわせてスクワットをする。これも全員の力がひとつになっていると、とても簡単にやることができる。

◎レスリング
・掴んだり押さえ込んだりしてくる相手を、腕を使わず手と胴体でいなす。
足で払いのけたりするのではなく、コネクトし続けることで相手の緊張を感じ、それを利用する。

◎ナイフの取り合い
・パートナーにナイフを取られないように防ぐ。30秒間で。綱引きのような引っ張り合いにならないよう、片手でしかナイフをもってはいけない、というルールを追加。負けたらプッシュアップ。

前半終了

◎ソフトワーク
・パートナーに腕を捻られる
→自分の身体を感じ、動きたいように動くことでロックを解除する。

・ロックを解除しつつ相手もコントロールし、かつ自分の力も少し加えることで相手をテイクダウンする。
→あくまでも自分の身体を感じ、動きたいように動く。ロックを解除しきってから投げるのではなく、その間にも相手とのコネクトを作り、かつ力を伝える。

上乗せする自分の力は、筋肉ではなく全身に力を伝えることで作り出す。


〈私的感想〉
こうして書きだして俯瞰してみると、コネクトを大事にするモスクワ的なアプローチを象徴するような、素晴らしいドリル構成だと分かります。

まずは相手とのコネクトを練習、ついでプッシュアップなどのエクササイズなどでそのコネクトに力を通し、次のレスリングでは、動的な状態で相手とのコネクトを作り、コントロールする。ナイフを取り合うドリルには、接近する相手とコネクトする練習を、あえてターゲットを制限した状況から初めて行く意図があるのかな、なんて思いました。

飯田橋クラスでも念入りに復習したいと思います。

また、上手に技をかけてくれる先生はたくさんいますが、上手に技を受けてくれる先生はなかなかいません。実は高い実力の人に受けてもらうのは、ものすごく効果的な学習法です。なぜなら、自分の動きの中から優れた動きを引き出してくれるからです。ザイコフスキーは間違いなく、とても貴重な「上手に技を受けてくれる先生」です。

また指導を受ける機会があれば、技をかけてもらうだけでなく、ザイコフスキーに技をかけて動きをチェックしてもらうことを強くお薦めします。

今回のザイコフスキーセミナーに参加した人は、飯田橋クラスへの参加が半額になりますので、良かったらいらしてください。

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「神がいなければ、すべてが退屈で、楽しみもない」by ミカエル・リャブコ 

ミカエルのインタビューがロシアで発行されているロシア正教系の新聞に掲載されました。
これをシステマを学んでいるロシア通のSさんとNさんにお願いして日本語化したものを紹介します。

ミカエルの哲学、システマの思想的背景を知ることができる、とても貴重なテキストと言えるでしょう。

オリジナル記事はコチラです。

ロシア正教新聞 Vechnyj Zov「永遠なる呼び声」掲載
「神がいなければ、すべてが退屈で、楽しみもない」
by ミカエル・リャブコ 

ミカエル・ヴァシーレヴィッチ・リャブコ氏は驚くべき人物である。氏は古代ルーシの武術を源とする流派の創始者で、モスクワに在住している。見たところ、この小太りの中年男性が、かの偉大な、武術の諸流派の創始者たちの間でゆるぎない権威であり、世界中の新聞雑誌で絶賛されているリャブコ氏であるとは信じがたい。例えば、日本では、微笑をたたえながら大勢のマフィアたちを投げ飛ばすミカエルさんが登場するマンガが無数に出ている。それほど、氏は有名である。

しかし、10分も話をすると、氏の実力に対する疑念は取り払われた。何も超常的な現象は起こらず、トレーニング場にいたわけではないので、実演もまったくなかったけれども。氏は多弁ではないが、この人物の力、やさしさの力を疑う気には少しもならなかった。


すべての宗教の背後に呼吸あり

リャブコさん、古代ルーシの武術は単なる普遍的な格闘技ではなく、21世紀の格闘技だと呼ばれています。その知恵は何に由来していて、あなたはどのようにその知恵を身につけたのでしょうか。

その知恵ははるか古代に遡るものです。ダビデ王(訳者注:旧約聖書のダビデ)の時代ですよ、ご存知でしょうか。

-ええ、聞いたことはあります。

私たちの武術の基本は呼吸です。呼吸しなければ人間は生きられないということは聖書の随所に書かれています。すべての宗教の背後には呼吸があるのです。東洋の武術もしかり。東洋には固有の宗教と固有のタイプがあります。格闘技の種類はいくつかのタイプに分けられます。例えば、ルーシには、伝統民族的な遊戯、まつり、赤いシャツを着た男子、殴り合いがありました。これは崇高なタイプです。暗黒の力が発揮されるタイプもあります。例えば、忍者ということがありますが、あれは9人の悪魔の呪文という意味です。(訳者注:「忍者」ではなくて、「九字の法」のことだと思われる。)

-では、なぜ「古代ルーシ」の武術を?

ルーシにはずっと長年あったからです。ルーシには競技性などなく、まったく異なっていました。指揮官を指名せず、選んでいました。後にそれがコサックに受けつがれます。アタマンたちは選ばれたのです。指名されたのではありません。競技性は、自尊心や自己愛を、生み出してしまいます。人々を助け合わせるのではなく、逆の方向にしむけてしまうものを生み出してしまうのです。

-あなたのサイトには、誰でもシステマの技を磨いていくことができるし、その技法によって人々が教育され、育成されていく、と書かれています。「育成」ということばはどういう意味で使われているのか、説明していただけますか。

人が育てられるとき、心の育成と身体の育成、の両方が進んでいきます。もし人々が十戒(「人を殺すなかれ」、「盗むなかれ」、「偽りを言うなかれ」など)に従って生きなくなったら、世の中は混乱してしまいます。だから、誰かが実行してみせ、誰かが正しいことを言ってみせ、正しい思想がなければならないのです。2年前に私たちは国連に招かれました。そして、システマは世界でもっとも人道的な格闘技だと言われたのです。国連が最高のものとして認めてくれたのです。それはなぜか?あまりにも暴力を流布するものが満ち溢れているからです。もう暴力が全世界を覆ってしまっています。映画にも蔓延しています。以前のロシアでは、こんなことはありませんでした。国内のニュースを見てごらんなさい。どれほど多くの殺人や暴力が登場することか!みんな、もう、うんざりしています。しかし、この状況を止めることもむずかしい。何らかの知恵を持っていて、力がその知恵であるなら、何らかの道徳的なものがなければなりません。

-では、システマの技を磨くには何が必要ですか?

ただ実行し、私たちの訓練のDVDを観ればよいのです。グループレッスンも個人レッスンも行っています。ロシアにはシステマを教えている支部が数多くあります。イスラエルや、カナダにもあって、技を磨いています。日本では、私が、システマのセミナーを開いた最初のヨーロッパ人でした。日本人もシステマをやっているんですよ。イスラエルで軍事活動を行っている人々にもシステマは大変好評です。


私たちは猿から生まれたのではない

-システマを防御の技術と呼ぶこともできるでしょうか?

ええ、システマは防御から生まれたものです。ですから、攻撃の側面を謳わないようにしています。

-サイトで拝見したところ、システマには、戦闘アクロバット技術、攻撃の技術、回転、とんぼ返り、ナイフ・棒・鎖を用いる技もありましたが・・・?

どんな武器でも使いますよ。刃物でも銃器類でも。

-それらの技はロシアの軍事機関や警察機構でも用いられていますか?

ええ。

-なぜロシアではシステマのことがまるで知られていないのでしょうか?

わが祖国には預言者はいないんです。いきさつは次のとおりです。2000年まで私は特殊部隊に勤務していました。戦闘に参加しました。私は戦闘功労者です。退役して、初めてアメリカに行きました。そのアメリカで、以前私の訓練を受けた者たちの一人に再会したのです。彼はカナダに住んでいます。彼から、全世界に私たちの武術の教室が作られていることを知らされたのです。ロシアの仲間たちが日本へ行っています。日本では金を払って私たちの武術を学んでいるんです。私は何も隠しません。人々は教わったことを行うのです。アメリカ人たちは私たちの武術を「千年の武術」と呼んでいます。

-カンフー、空手、柔道、キックボクシングなどとの最大の違いは何ですか?

アプローチの違いです。アジアではどうでしょう?呼吸をマスターするために蛙の呼吸の仕方を観察します。そして、蛙の呼吸のまねなんかしています。しかし、人間は蛙ではありません。それから、鶴のポーズとか。つまり、彼らはイメージの中に入ってしまうのです。でも、人間は人間。新たに考え出す必要なんて全然ないし、人間が蛙や猿になる必要もありません。蛙になってみたいなんて思いますか?みんなでゲロゲロと鳴いてみましょうか。人間は人間として生まれてきたのです。蛙として生まれてきたんじゃありません。猿として生まれてきた者は猿の振る舞いをし、蛇として生まれてきた者は蛇の振る舞いをする。人間として生まれてきたら人間として振舞うべきでしょう。

-ところで、日本の天皇が、格闘をロシア人とするのを禁じたというのは本当ですか?

ええ、歴史的事実です。イリヤ・デレヴャーキンという歴史学者が証明した事実です。第一次世界大戦のとき、ロシアのコサックたちは日本兵たちと格闘して、大勢の日本兵を殺しました。そこで天皇は、日本兵3対ロシア兵1の割合の場合のみ格闘することを許可したのです。


攻撃性は恐怖を生む  

-リャブコさんはロシア正教の信者ですか?

私は信仰の浅い人間です。真理があって、その真理になにか歯向ったりすることは無理だろうと思います。教会には通っていますが、通っているからといって深く信仰していることにはなりませんよね。

-システマを用いるに際して、信仰はどれほど重要なのでしょうか?それとも、意味などないのでしょうか?

信仰云々は、そんなに重大なことではありません。重要なのは、その知恵を何に用いるかということです。もしモーゼが神から授かった十戒を私たちが捨ててしまったら、どんなことが起きるでしょう。大混乱か殺し合いになってしまいますよね。

-教会はあなたを支持してくれていますか?ロシア正教会の上層の聖職者と何らかの接触はありましたか?

私はシステマをするためのロシア正教会から祝福を受けています。

-また、あなたは検察庁総長ユーリイ・チャイキ氏の相談役をされているそうですね。法的な活動に対してはどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。

氏はシステマを支持してくださっています。

-システマの訓練のときのあなたは心優しいかたに見えながら、易々と相手を負かしてしまいます。どうしてあんなことができてしまうのですか?また、一対一の闘いになったとき、何を考えますか?

私は軍人でした。プロの軍人でした。どんな職業でもプロは、自分の仕事で感情を表に出してはいけないのです。仕事はきれいに仕上げなければなりません。例えば、凶悪な犯罪者を捕らえたとき、憎しみの感情は抱きませんでした。彼らは彼ら自身が果たすべきことを果たす、私は私が果たすべきことを果たすというだけのことです。アメリカの映画によく出てくる「個人的な感情抜きで」というセリフと同じですよ。愛情のない人間は誰も愛することはないし、憎むとだれでも憎むようになり、爆破すると何でも爆破するようになる。正常な人間は誰に対しても正常な態度で接しなければなりません。よい人間に対しても、悪い人間に対しても。そうしなければ、自分もまた邪悪な人間になってしまいます。アメリカの映画にはたびたび冷酷な人々が出てきます。彼らが危機な状態になっていることは明らかです。ああいうものを体験すると自分を失いかねない。そういう心理学的なメカニズムです。人間から獣を作り出すことができるのですから。獣から人間を作るほうが難しいですよね。

-相手に対して敵意を抱いたりしませんか?

戦争と同じように、誰が誰を、誰が速いか、ということが問題です。敵意を持ったり、緊張したり、誰かを憎んだりすると、けっきょく自分自身の邪魔をすることになるのです。

-それは普遍的な法則なのでしょうか?人は状況をコントロールするためには緊張してはならないのですか?

緊張すると、人は自分自身を見失ってしまいます。大勢の人々が戦闘の場にいます。たとえば、あなたが誰か反感を抱いている相手にインタビューをするとします。自分の感情のままにインタビューしたら、真実は書けないでしょう。それはもう真実ではなく、あなたの感情になってしまいます。戦闘の場にもそれと同様のことがあります。アメリカ人は凶暴な面を見せることがありますが、それは彼らのすごく彼らの役に立ったでしょうか?もちろん、答えはノーです。そのせいで余計な犠牲者が出てしまうだけです。どんな攻撃も恐怖を引き起こします。人は恐怖によって攻撃的になります。それはプロフェッショナリズムとは呼べない。どんな感情もプロフェッショナリズムを妨げるものとなります。もし人が何らかのプロフェッショナルとなりたければ、穏やかさとバランスを重んじなくてはならない。どんな地位にあっても、大臣でも、アーティストであっても、あなたは人々に対して同じように接していかなくてはならないのです。これは大変に難しいことです。人が他者よりも自分の身近な人々をより大切に思うことは理解できます。また、私たちが愛することができないような人々もいます。個人的な感情ばかりで物を言ったら、私たちはすぐに自分たちの絆を失ってしまう。そうじゃありませんか?

-そうですね、あなたのお話は、まったくキリスト教・ロシア正教の教えのとおりですね。聖書は、太陽は誰にでも平等に照り、神はあらゆる人々に平等に幸福を与える、と言っています。

私はかつてスペツナズの人々や警備兵を訓練する基地にいましたが、そこで彼らに「最初に、君たちは何を学ぶんだ?」と質問しました。彼らは「まず最初に、私たちは攻撃を学びます。」と答えました。人は攻撃的になったら、血圧が上がり、脈拍も上がり、ついには体温までも上がってしまう。そんな状態で、人はある程度の時間を過ごさなくてはならない。例えば、誰かを保護することになったとする。そして、まさにそのような状態で、8時間も過ごさなければならないとしたら、現実には耐えられないでしょう。また、どのように武器を使用するか?という問題がある。イスラエルでは、これは宗教的な問題でもあります。イスラエルでは、武器は人が撃たれた時のみ使用する。昔からそうなのです。私は基地にいた彼らに、人は攻撃を学ぶのではなく、プロフェッショナリズムと穏やかさとバランス感を学ぶことが必要であり、そうする時にこそ、すべてが正しくなる、ということを示してみせました。そうすれば、人はすべての行動において正確に反応することができるのだ、ということを。


幸福―良き人々との交流

-人生において、神の救いを感じたことがありますか?

私は戦死しませんでした。つまり、それこそが、神の助けに他ならないと思います。

-何か危険によって脅威にさらされたことはありますか?

戦地は常に危険と隣り合わせで、爆発したり、撃たれたり、地雷を踏むことだってあります。もちろん神は守ってくれています。おわかりになると思いますが、塹壕の中では無神論者ではいられませんし、塹壕の中では皆、神を信じています。その後、多くの人はそのことを忘れてしまうのです。今はそういう時代です。こんな小噺があるんですよ。

「クリシュナ教徒の信者たちがバスに乗って、山間の道を進みながら歌っていた。『ハーレ・クリシュナ、ハーレ・クリシュナ。』すると、バスは横滑りしてしまった。彼らは怖がり、そして、叫んだ。『神よ、助けたまえ!』そうしたら、バスはまっすぐになって先に進んでいった。』

-今度は、こんな哲学的な質問です。人生の意味はどこにあると思いますか?

人生の意味は、こんなふうに分けることができるのではないでしょうか?最初は、両親の中に、次は、愛する人の中に、そして、子ども達の中に、やがて人生の終わりに近づいたときには、神の中に、人生の意味を見出すのではないかと思います。

-つまり、すぐに神に見出すのではないと、では段々と・・・

人生の残りがさほど長くないとわかり始めた時、その時に、人は神の中に人生の意味を見出すのです。

-そういうことは早く気づくべきですね。

そうですね、あなたのおっしゃる通りです。

-ところで、あなたにとっての幸福とは?

私にとっての幸せとは、周囲の人々が病気をせず、彼らが人生を正しい行いを持って歩むことです。幸福は良き人々との交流、不幸は悪い人たちとの付き合いです。様々な肯定的な情報は幸福となり、色々な否定的な情報は不幸のもととなります。

-信者たちは、彼らにとっての幸福は最も偉大なる天の力との交流によってもたらされる、と言っているようですが?

それは私にはどうにもできないことです。私は神との交流をしたいとは思いますが、しかし私はそれに値しない。

-あなたは、神は、父なるものとして、すべての人とは交流を望んでいるわけではないと考えているのですか?

私たち人間は神と交流する準備ができていないのです。


サムソンは神の力によって勝利した

-古代イスラエルでサムソンのこんな戦いがあったのを覚えていますか?ある日古代イスラエル人(サムソン)が敵の軍隊に遭遇した。そして彼はロバの顎の骨をふるって数千人の人々を殺した。もしかして、彼も特別の方法を操っていたのでは?

それは、きちんと読むと『そして聖なる霊魂が彼のもとに降りてきた。』と書いてあります。つまり、彼は自分自身の力で勝利したのでははく、神の持つ力を持っていたのです。それは、セラフィーム・サロフスキーが語った精霊であり、五旬祭の時にキリストの使徒たちに降臨したものと同じものです。

-今、ロシアでは、あなたのシステマのクラスはどのくらいあるのですか?

自分で数えたことはありませんが、だいたい10くらいでしょう。

-あなたの見解では、今、ロシアでは何が起こっていて、どんな経過を辿っていると思いますか?

どの分野において、ですか?

-国は進歩しつつあるか、あるいは廃退していっているか、あなたはどう思いますか?

私は国は再建されつつあると思います。私たちは社会主義の方針からは離脱しましたが、それもまたひとつのプロセスです。そして、移行までのプロセスを終えなくてはならない。市場経済による民主主義は、アメリカもすぐにはできなかった。何年かかけて発展していったものです。政府はアメリカのモデルを導入して試しています。私は経済学者ではないから、何がよくて何が悪いかはわかりません。しかし、何らかの独立性が必要だと思われます。事情をよく知らない人が助言をするのはたやすいことです。ところが、政権を握っている人間にとってはまったく事情は異なります。何人かの大臣は私にはまったく理解不能です。ロシア財政危機の直前に、クドリン大臣は私たちのお金をアメリカの利息に差し向けました。たとえば、彼らが5%の利息を得ると、私たちは7%得る。結果的には非常にナンセンスなのですが、彼らはすべて上手くいった、と言っています。

-もし、誰かがシステマのメソッドに興味を持ったら、どのように問い合わせればいいですか?また、どこであなたのディスク(DVD)を手に入れられますか?

特にディスクの販売はしていません。私たちのクラスで見つけてください。インターネット経由でも申し込みができますよ。サイトをご覧ください。www.systemaryabko.ru です。

-読者に対しては、どんなことを願いますか?

読者には、平穏無事であり、過ちをおかさないようにしてほしい。つねに真実を探し続けることが必要です。ただし、私たちが自分の頭で考え出したような真実ではなく、あなた自身がその試みの中でわかる真実です。どの分野においてもプロフェッショナルであってほしい。労働者ならば、仕事においてプロフェッショナルであり、映画製作をしているなら、その分野でプロであってほしい。なぜならば、嘘をつくことはもうたくさんだから。人々が精神的に成長することを願っています。なぜならば、精神が貧しいとは、無気力・無関心となることだからです。もし神がいなかったら、すべては退屈で、誰も何にも興味が湧かないでしょう。精神的な完全さこそ、最も重要なことであり、人生において人々が持つべきものでしょう。



インタビュアー:セルゲイ・ロマノフ

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システマ本部認定クラス
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プロフィール

TKHDKTGW

Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。株式会社アトス代表取締役。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでの講演するほか、テレビやラジオなど各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。ヤングマガジン連載「アンダーニンジャ(花沢健吾著)」、NHKドラマ「ディア・ペイシェント」監修。
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