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システマ記事が豊富な「メイブカン・マガジン」

ブログに掲載したミカエルインタビューがもともと掲載されていたのはMeibukan Magazine。
今は休刊しているようですが、バックナンバーにはちょこちょこシステマ関連の記事が出ています。全部pdfなので、ぜひ読んでみてください。

Vol.3 ロシア武術の歴史、システマの基礎、ヴラディミアのインタビューが掲載
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Vol.7 システマとロシア正教の関連についての論考
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Vol.9 ミカエルインタビューの原文 システマ的な恐怖心への対処についての論考
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マスアタックの要点

震災後の状況が依然として安全とは言えない状況の中、日常の日々が始まりました。
こうした時、特に都市部では風評などによって集団的なパニック状態が起こる可能性があります。
これままさにシステマにおける「マスアタック」そのものと言えるでしょう。

「システマ入門」にも記載した、群衆に巻き込まれた際の注意点を転記します。
これはボディーガードのスペシャリストでもあるコンスタンチン・コマノフが昨夏のサミット・オブ・マスターズで教えてくれたものです。

・ネックレスやマフラー等を首から外す。
・ポケットの中にボールペンや鍵などの尖ったものがある時はそれを取り出す。
・前あきの上着を着ている場合はきちんと前を閉める。また、できるだけ上着をズボンの中に入れる。
 …これは万が一、倒れてしまった時に上着を踏まれて立てなくなってしまうのを防ぐためです。
・膝を少し深めに曲げ、両手を脇腹に沿わせるようにする。膝を曲げることで足が踏まれるのを防ぎ、
両腕によって肋骨の損傷を防ぐことができます。
・身体の力を抜き、群衆が生み出すリズムに乗るようにする。
 …群衆はいつしか足並みが揃い、一種のリズムを産み出します。それに決して抵抗せず、流れに乗るようにします。

万が一群衆の足元に倒れてしまった際には、
・まず呼吸をし、手足を引っ込めてうつ伏せで「亀」の状態になる。
 …こうすると手足を踏まれずにすみ、なおかつ高さが生まれるので踏まれにくくなります。
・「亀」になったら、周囲の足に逆らうことなく、むしろその力を利用しながら立ち上がる。
頭が膝の高さに来る特には、両手で頭をガードする。

ヴラディミアいわく「群衆が自分を踏みに来ているのではなく、緊張を解しにきてくれていると思えばいい」とのこと。こうしたちょっとした心の使い方の違いが、いざという時には大きな違いになるそうです。

また、「パニックは、たった一人から群衆全体へと波のように伝わっていく」とのこと。
メンタル面においては、それに巻き込まれないように呼吸で内部の緊張を解していくのが大切になります。

いま、不安を煽られるようなニュースが多数、報じられています。こうした事から生じる恐怖もまた、大きな緊張を産み出し、それが周囲の人へと波及してしまいます。

恐怖を感じたらまず、呼吸をする。それでも収まらなかったらバースト・ブリージングをしてみましょう。

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バースト・ブリージングについて

システマのトレーニングではとても大切なバースト・ブリージング。

これについてよく質問をいただくので、昨年の11月に行なわれたブリージングセミナーで学んだことをベースにして、ポイントをまとめておきたいと思います。

やり方は次の通り。

「鼻から吸い、口から吐く。これを小刻みに行なう。」

バースト・ブリージングは通常のブリージングでは回復が追いつかないような負荷を解消する時に使います。強烈なストライクを受けた後、ハードなエクササイズの最中、または武器を持った敵に向かっていく時のような、心理的な緊張も含まれます。

鼻から吸う理由を知るには、まず口で息を吸ってみると良いでしょう。なんとなく激しい運動のあとに息をあえがせているような感じがあるかと思います。口から吸うことでメンタルとフィジカルの両面に緊張が起こってしまうのですね。唇の構造をみてみると分かるのですが、口は本来、息を吐くことはあっても吸うための場所ではありません。軽く口を閉じて息を吐くと気圧によって唇が軽く開き空気が漏れていきますが、逆はできないはずです。口で吸おうとすればするほど、唇が弁となってきつく閉ざされ、吸えなくなることがわかるかと思います。ですから口を自然に閉じた状態でできるだけたくさんの空気を出し入れしようとすると、どうしても鼻から吸って口から吐く(もちろん同時に鼻からも漏れています)ようになるのです。

すると「鼻が詰まっている時はどうするのですか?」という疑問が当然、出て来ると思います。
そういう時はもちろん、口から吸っても構いません。口をできるだけ自然に開き、鼻からだけでは足りない分を口から入って来る分で補う、といった感じです。私自身もアレルギー性鼻炎がありますので、鼻が詰まっている時にはそのようにやっています。

バーストブリージングのやり方はだいたいこんなところですが、実際にやってみると色々な疑問点が出てきます。
まず多くの人が直面するのが「バーストブリージングをやると余計に苦しくなる」というもの。

これは呼吸に過度の緊張が伴っているためです。その緊張のために体力の回復どころか逆に疲れてしまうのですね。
それを解決するには、自分にとって適切な呼吸の深さやペースをまず知ることが必要です。例えば思い切り吸いきり、思い切り吐ききると、呼吸に伴う緊張がいやでも感じられるかと思います。逆に浅すぎても空気が足りずに苦しくなってしまうでしょう。そのどちらの負荷も起きないような深さで呼吸をすることで、余計な緊張が起こらなくなります。

バーストブリージングのペースは早ければ良いというものでもありません。インストラクターやマスターはとてもペースの早いバーストブリージングをしますが、必ずしも同じようにする必要はありません。例え周りの人より遅くても、それで体力の回復が早まるなら、それはその人にとってのバーストブリージングとして正解なのです。

また身体は負荷がかかっているほどたくさんの酸素を必要とします。ですから椅子に座って平静にしている時より、プッシュアップをしている時の方がバーストブリージングのペースが早くなったりします。自分にとって本当に快適な呼吸を知るようにしていけば、負荷に応じてバーストブリージングは自然に変化することも、分かって来るかと思います。

そうしたことを実感するには、練習において呼吸に動きを連動させることを意識する必要があります。
ブリージングセミナーでヴラディミアは「分析しなさい」とたびたび口にしていましたが、呼吸が身体にどのような影響をもたらしているかを、よく感じ取ることが大切です。呼吸が大切だから、と闇雲に呼吸をするのも息を詰めるよりはずっとマシですが、呼吸を全身で感じるようにすることで効果がまるで違ってきます。

呼吸にともなって身体中に振動が伝わったり、血液が流れる感じがあったり、体温が変化したりします。それまで負荷に感じられていたことが、呼吸によってふっと楽になったりします。そういった呼吸による変化をつぶさに感じ取るようにするのです。こうするとそれまで単なる「体力作り」と思っていたシステマのエクササイズが、がぜん深みをもったものになりますし、マスター達がなぜ「筋トレ」ではなく「呼吸のトレーニング」と言うのかも分かって来ることと思います。

とはいえ、「呼吸の力が実感できない」と思う人もいることでしょう。そういう人には、とっても簡単な解決法があります。バースト・ブリージングを5割増くらいの強さでやるのです。それでも分からなければ10割増でも構いません。要するに「呼吸の力が感じられない」と言う人は呼吸が弱すぎるのです。

ですから「適度な深さが良い」と前述しましたが、それはあくまでも「正解」としての意見です。上達するための「方便」としては、自分が適切と思っているものよりも、もう少し強めに呼吸をした方が良いようです。なぜなら私も含めてついつい呼吸が弱くなってしまい、呼吸をしているけど効果が出ていない、「呼吸をしているつもり」と言える状態になってしまうからです。

強くするのは主に吐くほう。身体の力が抜けていれば、吐いた息の反動で必要な分だけ空気が入ってきます。ですがそれをマネしようとしても呼吸が弱くなってしまいがちなので、吸気と呼気の両方を強くやるようにしても良いでしょう。

確かにマスターは呼吸をしているようには見えません。それは小さな呼吸でも効果が出るように相当の習練を積んだからです。ヴラディミアが見せてくれたバースト・ブリージングはものすごく細かくて、マネをしようとしてもすぐに苦しくなってしまいます。ヴァレンティンが鼻でバースト・ブリージングをやると、ひくひくひくひくと超高速で小鼻が動くのです。ですがその小ささばかりをマネしては、呼吸と動きが切り離された効果のないものになってしまいかねません。まず私たちのレベルでは今よりずっとたくさん、呼吸の影響力を感じられるくらいに強く呼吸をする事が近道となります。その結果として次第にマスター達のような小さくても高い効果のあるバースト・ブリージングになっていくのではないかな、と思います。

バーストブリージングについてはヴラディミアの著書「Let Every bleath...」に詳しく書いてありますので英語版はそちらを、英語が苦手な方は近々発売されるであろう日本語版を参照するか、自分で訳してみることをお勧めします。



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システマの基本4原則

システマには以下の4つの原則があります。


「呼吸(Keep breathing)」 … 呼吸を止めない

「リラックス(keep relax)」 … リラックスを保つ

「姿勢(Keep back straight)」 … 背骨をまっすぐに保つ

「居着かない(Keep Moving)」 … 動きを止めない


誰が言い出したことか、判然としないのですが、これはどこのシステマのクラスに参加しても、よく言われることです。

システマに取り組むにあたって、頭に叩き込んでおいた方が良いのは、この4つだけです。
もし「4つも覚えられない!」という方がいたら、「呼吸を止めない」という事だけでも覚えておいてもらえれば十分です。

システマのトレーニングにおいて、あれこれと細かな技を覚えることはありません。もちろん、システマには決まった学び方もありませんので、細かな技を色々と覚えるのも自由です。でも僕の実感で言うと、この4原則への理解を深めていく、ということを目指した方が、上達は早いです。

基本的に僕は不器用な人間なので、はなから技を覚えるつもりはありませんでした。なのでこういうシンプルな構造を持つシステマとは、とても相性が良かったと言うことはできると思います。その結果として、細かな技術はいくらでもついてくるのです。

4原則の中でも特に大切なのは「呼吸」と「リラックス」であると言えると思います。呼吸が止まったら死んでしまいますし、リラックスしていなくては身動きがとれないからです。


では水の中ではどうするのでしょう?
アクアラングでも装備していない限り、呼吸を続けるのは困難です。そういう時は「リラックス」がとっても大事になってきます。水中では、人間って緊張によってけっこうあっさりと頭が真っ白になって、溺れてしまいます。また、緊張していると肺活量が低下し、酸素の消費量もムダに増えてしまって、窒息するのが早くなってしまいます。だからリラックスするのです。

そうすることで、より落ち着いて、より長い間、水中で行動することができるのですよね。


4原則については、これからこのブログで細かく書いていきたいと思います。

s_R0012705.jpgキャンプサイト脇を流れるモスクワ川。ここではでっかい外国人と一緒に、頭から水の中に叩き込んで沈めるトレーニングなどをしました。やってみるとけっこう楽しいのです。

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TKHDKTGW

Author:TKHDKTGW
北川貴英:システマ東京主宰。株式会社アトス代表取締役。08年モスクワにて創始者ミカエル・リャブコより公式システマインストラクターとして認可。16年コンディショニングに特化した「INSTRUCTOR OF APPLIED SYSTEMA」に認可。システマ関連書籍を多数執筆。教育機関、医療系シンポジウムなどでの講演するほか、テレビやラジオなど各種媒体を通じてシステマを幅広く紹介。今なお毎年欠かさず海外研修に赴きスキル向上に努める。ヤングマガジン連載「アンダーニンジャ(花沢健吾著)」、NHKドラマ「ディア・ペイシェント」監修。
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