ミカエルを迎えての懇親会兼質疑応答や、最後の夜のパーティーでかわされたやり取りのうち、北川が覚えていたもの、ノートに速記していたものなどをここに転記します。書きなぐったノートの丸写しとなっているため、一部読みにくい文章となっていることをご了承ください。
Q. 相手に力を与えるパンチと、力を奪うパンチの違いは?
A.大事なのは相手のコンディション、位置、パワー、角度、などなどを感じること。パンチの威力は問題ではなく、中に響いているというニュアンスがあるかどうか。また、デモンストレーションでたくさんパンチを見せているのは、パンチを理解するための鍵。問題は信じるか、信じないかです。
Q.パンチを打つ部位について
A.正しくやれば、小さな力でも大きな影響力がある。今日はボクサーに軽くパンチをしたように(その日の昼間、ボクシングをやっているという青年がミカエルを訪ねました)。
パンチは筋肉を打つ。骨を避ける。
…と、ミカエルが質問者を呼び出し、その頭を軽く打つ。
打たれた参加者「表面は痛くないけれども、頭全体が響く感じ」
ミカエル「私は(パンチがあまりに重いので)、あまり頭を打たないようにしています」
Q.上手な人は全身がバラバラに動いているように見えます。どのようにすれば、そうなれるのでしょうか?
A.もっと練習をしてください(笑) なぜなら必要のないエクササイズはやっていません。大事なことしか教えていないのですから。
Q.怪我をした時や、ハンデのある時の練習法について
A.怪我をしたからといって、練習を休む必要はありません。エクササイズをやっていると、必要な呼吸を身体が選びます。色々なエクササイズから目的に応じて最適なものを選んで実行すると良いでしょう。
Q.モスクワスクールの生徒達がとても親切にサポートしてくれたことについて
A.当然のことです。でももしあなた方が失礼な態度をとっていれば、彼らもそうはしなかったでしょう。あなた方が良い人だったから、助けてくれたというのもあると思います。ただ、世界的にはたまに、セミナーでムキになりすぎてしまう人もいるようですが。
私たちのスクールには、さまざまな人がいます。昨日、サポートしてくれた生徒の中には、4年連続で空手のチャンピオンとなり、バケツ2杯分くらいの金メダルを持っている人がいました。また、現役のスペツナズ(ロシア軍特殊部隊)教官も来てくれています。彼はノールールの金網コンバットに出場しますが、いつも制限時間内に相手をやっつけてしまいます。そういう「違う世界」に住む人達も、このスクールにはいるのです。最初、彼らは私に挑んできますが、次からは素直に学びにきます。パンチの2、3発も体験すれば、みんな分かってくれるのです。
Q.システマに年齢制限はあるのか?
A.スポーツからシステマに移ってくるのは、精神的にきついようです。精神は一番大事です。固定観念やこれまでやってきたことなど、さまざまなものを背負っていますから、それらを乗り越えていくのが大切です。
Q.ロシアン・スティック・マッサージについて
A.「本当の意味で、戦士になるためのマッサージ」を言えるでしょう。生まれてから何もやったことのない人には緊張はありません。ナイフや斧、スティックを用いたマッサージのDVDも出しています。これらのマッサージには折れた骨の繋がりを促進する働きがあるなど、興味深い結果が色々とでているのです。病院で断られた人達が、次々と治って家に帰っていくのです。
(ここで医学博士でもあるビクターが、自分が目の当たりにした例を紹介しました)
最新の機器が揃っている病院に、頸椎2番(首の骨)が折れた患者さんがやってきました。医師達は金属をいれて治療しようとしましたが、それでは障害が残ってしまいます。固定されて骨が固まってしまい、首が回らなくなってしまうのです。そこで医師の依頼を受けたミカエルとアンドリュー(ロシアンマッサージの施術者)は半年かけてその患者を癒し、後遺症を残すことなく、治すことができました。
(再びミカエル)
彼を治療して、私たちは「他になにかやることがありますか?」と医師に尋ねました。すると医師は「とんでもない、これ以上、他になにをやる必要があるのでしょう?」と驚いた顔でいいました。現代医学を学んだ医師達は、背骨に異常があるとまず背筋を鍛えて補強しようとします。しかしこれでは歪んでしまった骨がさらに締め付けられ、よりいっそう歪んでしまう結果となってしまいかねません。だからまず大切なのは、周囲の筋肉をリラックスさせることなのです。
Q.創始者を始めとする一部の人だけが腕が立つ武術はたくさんあるが、システマのようにみんなが強くなってしまう武術は他にあまりないといわれている。そのことについて。
A.(みんなが強くなるのは)それがあるべき姿だし、当然のことです。世界の情勢がまた、いつどのように変化するか、誰にも分かりません。だから私は、いま自分が伝えられることは、伝えられるうちに、全て伝えきるつもりです。
Q.ミカエルにとっての「ゴール」とは?
A.やはり、良い人になることです。そしてもちろん、神に喜んでもらいたい、という気持ちもあります。

質疑応答の模様。(ピンボケご容赦)